君と過ごした3カ月
□第1週
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「あ、兵助君!潮江君!」
町中で見慣れた2人を発見した。
いきなり声をかけたからか、兵助君は怪訝な顔。
「タカ丸さん、授業は?」
「お休み。髪結いの小物見にきたんだ。
2人は仕事?」
「まぁな。終わって帰り道だ。久々知、6年生には及ばないがお前腕上げたな。
斉藤、道すがら昼飯に寄って行くが斉藤も行くか?」
潮江君の有り難いお誘いに、即答で「行く!」と返す。
潮江君が忍務帰りに昼ご飯に寄るのは珍しいと思っていたら、
兵助君の活躍で忍務が早く、しかも申し分ない結果で終わったご褒美らしい。
厳しい所もあるけど、誉めるときは全力で誉める。
色々言われてるけど、良い先輩だよね。
「どこ行くの?」
「山の麓の豆腐屋。1ヶ月半ぶりなんだよなー!
あ、潮江先輩のもタカ丸さんのも、お2人にぴったりの豆腐を選んで差し上げますよ。」
表情豊かに語る兵助君を見て、僕は思った。
…潮江君、巻き添えにしたね!?
「悪いな。」
「な、慣れてるから!」
「2人とも、早くして下さい!」
多少の気落ちをしながらも、普段はなかなか出来ない先輩2人に囲まれた昼飯の場に足を速めた。