君と過ごした3カ月
□第1週
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「名無しさんちゃん…な、何で!?」
「お前どうして…」
ようやく絞り出した声は掠れて震えている。
無理もない。もう会えないと思っていた人。
「名無しさん!」
「兵助君…この世界なんだ。」
周りの目も気にせず涙ながらに抱き合うものだから、店がざわつき始めて、ようやく少しの冷静さを取り戻す。
「兵助君、おちつい「おじさん、この人僕の姉なんです!数年前に生き別れた姉で…出会わせてくれてありがとうございます!」」
僕の言葉は兵助君の突拍子もない発言に消された。
潮江君は尚も唖然としていている。
「取り込み中のようだから帰りますね。」
「こっちも勘定してくれ。兄ちゃん、もうお姉さんを離すなよ!」
「良い場に居合わせたね。」
激励の言葉を背中に受けて、店が落ち着いた所でようやく名無しさんちゃんが口を開いた。
「あ、タカ丸と文次もいる。久しぶり。」
僕と潮江君の扱いが随分と軽いなぁ…