君と過ごした3カ月

□第1週
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そこからの兵助君は凄かった。


自分の姉という設定を通し、店にはちゃんと出勤させることを条件に名無しさんちゃんを連れ帰る事に成功した。


初めて見た雄弁な兵助君に僕と潮江君は口を挟む隙もなく、名無しさんちゃんは終始兵助君に同調していた。


「1ヶ月前に目が覚めたらあの店の裏に寝てた。
誘拐かと思ってたけど、どうも違うし、生きるのに必死でさー」


名無しさんちゃんはそんな重たいことを笑って言うし、

「でも、兵助君に豆腐料理を沢山作ってたのが役に立って、住み込みで働いてたの。」

「無事で良かったし、俺が役に立てて嬉しい!
いつまでいるの?」

兵助君は普段の彼から想像出来ないくらいのデレっぷりを見せている。

間に入るのも面倒なので、手を繋ぎ歩く2人を後ろから潮江君と眺めた。


「全部で4ヶ月らしい。あ、手紙見る?」


『御礼を申し上げると同時に四月の時を与え賜う。』

そんな内容の手紙に、


「名無しさん、1ヶ月無駄にしてんぞ。」

「あと3ヶ月か…名無しさん、一緒に寝て良い?」

「は!?誰!?兵助君の皮をかぶった誰!?」


新たな兵助君の一面に驚きを隠せないまま賑やかに学園へと向かった。
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