君と過ごした3カ月
□第2週
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「忍務から帰ってきたら、名無しさんちゃんがいると聞いたから急いで来た!」
「…おかえり。」
「ただいま…かな?あ、こへ。四郎君から手紙預かってたの。
ずっと手帳に挟んでたから、こっちに持ってこれた。渡せて良かったよ。」
名無しさんちゃんは6年生とも予想以上にうまくやっていた。
いや、そうなるように計算して手を回したのは俺達だ。
最悪命の危険もあったけど、先輩方は俺達の狙った陣形で彼女を守ってくれた。
純粋に嬉しかった。
この瞬間までは。
「ほら、いつまで隠れてんだよ!名無しさん、大事なの忘れてるぞ。」
忍務に赴いてた先輩方とのせっかくの再会だ…と、気遣って空気と化していると、潮江先輩はポンと立花先輩の背中を押した。
「え?……あーー、立花君!!どこに隠れてたの?
もう…何で……」
「あの…ただいま。名無しさん、悪かったな…」
「そうだよ!私、本当に…」
名無しさんちゃんが泣き始めた。
それをさも当たり前かのように立花先輩は抱き締めて、
「まさかまた会うと思わなかったから…本当に悪かった…」
「怒ってないよ…また会えて良かった。」
その背中に腕を回す名無しさんちゃんの顔は今まで俺達に向けていた顔とは明らかに違った。