君と過ごした3カ月
□第6週
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「名無しさん…その言葉、私は良いように受け取るよ?」
冷静に、冷静にと努める。
本当は気も高ぶっているし、余裕なんて無い。
「解釈はお好きにどうぞ。
立花君にはもう誤魔化しようがないからね。
自分でもバカだと思うわ。」
「誤魔化しようがないのはこちらも同じだ。」
その言葉と一緒に名無しさんを自分の胸へと引き寄せる。
「好きだよ。」
受け入れも拒みもしない抱擁を強める。
「ずっと、ずっと近いようで遠かった。
今ならふた月は共に過ごせる。一緒にいよう。」
もうきっとこんな事言える機会はない。
自尊心も冷静さも今はいらない。
「好きだ。」
もう1度耳元で囁くと、ようやく名無しさんの手が背中へと回った。
「どうして言うの…」
涙を含んだその声も、
赤く染めた頬も、
普段は見ることのない女の表情も、
「この世界での名無しさんを私におくれ。」
額に軽く唇を落として、名無しさんを押し倒すように布団へと身を委ねた。
きっと、もうこんな歯の浮いた台詞を言うことは無いだろう。
「名無しさんの事を心から愛しているよ。」