君と過ごした3カ月
□第6週
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「そこまで警戒しなくても良いだろう…
春休みを思い出すな。」
蛇に睨まれたかのように硬直しながらも、名無しさんは警戒を解かない。
春よりもひどいんじゃないか?
「事故だ、事故。
同意無く手を出す気は無い。中では理性的な方だから安心しろ。」
大体、名無しさんも私の事を好いているのにこれは無いだろう。
こんなに気を使って宥めるなんて面倒な事、名無しさんじゃなければやらない。
「いや、違うの…」
部屋のすみに座り込む名無しさんがようやく口を開いた。
少しだけ安心する。
「何が違う?」
座り込む彼女の前に座り、髪をなでた。
雨に濡れたまま…風邪引くな。
「自分の中で気持ちの整理がまだついていない。
立花君ほど理性的じゃないの。だから、やめて。」
思わず口角が上がる。
嫌がられている訳じゃない。
むしろその逆。
もう会わないと思っていたから、手に入れる気も無かった。
今回も終わりはあるが、手に入れてから充分すぎる程時間はある。
無いものは望まないが、目の前にある…