君と過ごした3カ月
□第6週
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「怒らないのか?」
「名無しさんが先輩を好いてるのは知ってますから。
その後押しをしたのも私です。望んだ展開ではないですが自然な流れでしょ?」
後押し…それは考えていなかった。
本人はそのつもりだったのか。
「なぁ、久々知…」
「何ですか?」
表情を変えないまま久々知は真っ直ぐ私を見た。
「生まれて初めて振られたよ。」
「は!?」
予想外にも程がある…
そう言わんばかりに久々知はその目を見開いた。
「半分はお前のせいだぞ。」
「何でですか?」
あの時、名無しさんを布団に身を委ねたまま組み敷いた名無しさんの着物に手をかけた。
性急すぎる自覚はあったが余裕なんてなかった。
何度も愛を伝えて、何度も口付けを交わした。
「ごめんなさい…」
そう言われるまでは。
自分が切り替えの早い方であれほど良かったと思った事はない。
「立花君の事は好きだけど…」
涙をため、苦しそうな表情で名無しさんは言った。
「『ここで立花君だけを選んだら絶対後悔する。やっぱり5年生が好きだから、あの子達の反応を考えたら私は立花君を選ばない。』だとさ。
本当に憎らしいな。」