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□大好きな昼休み
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修学旅行初日。某遊園地。


修学旅行に遊園地は子供地味ているが脳内、遊ぶ事しか考えていない銀魂高校の生徒はお寺とかよりも遊園地の方が喜ぶ筈と言う理事長の計らいから遊園地が修学旅行の場所となった。




遊園地は高杉先生と一緒に回りたい。
こんな絶好の遊園地デート楽しまなきゃ損だ。





小豆は立ち上がりキョロキョロと高杉の姿を探す。


先生の事だから「ダルい」とか言ってバスの中にまだ居そうな予感がする。





…やっぱりバスかな?


高杉が乗っていたバスに向かおうとした瞬間、茶髪の短いスカートの他のクラスの女子四人組に囲まれてしまった。




「あんたさ、高杉先生の回りうろちょろして超うざいんだけど。やめてくんない?
大した可愛くないんだし高杉先生も迷惑よ!!」




小豆は悔しかったが言い返せなかった。


確かに高杉先生の気持ちなど考えた事がなかった。


……高杉先生は私を只の一生徒としか思ってないよね…。
私が一方的に好きなだけだし。高杉先生の気持ちなんか考えた事なんてなかった。





小豆は自分に腹が立って涙が込み上げてきた。



…馬鹿みたい…!自分だけハシャイじゃって………。先生の気持ちだって迷惑に決まっている!!




涙が込み上げ頬を伝う。涙を堪え様とするが止まりそうにない。
小豆は四人組から逃げる様に走り去り、人気の居ないベンチに座って涙を拭っていた。





他の生徒は楽しそうに、ジェットコースターやお化け屋敷、遊園地のアトラクションを楽しんでいる。






それを尻目に益々独りの虚しさが込み上げ、涙が溢れた。




「小豆何泣いてんだ。腹でも痛ェのか?」

聞き慣れた大好きなあの声。
後ろを振り返えらなくても声で解る。
だって大好きな人だから。



『…コンタントにごみが入ったの……』
目を擦り、涙を拭う。


「どれ?見せてみろ?」
高杉の温かい手が小豆の肩に触れた。





『…やめて…くれない?』高杉の手を力一杯跳ね除けてしまった。


…馬鹿馬鹿。…何言うの…あたし。



「ああ?どうしたんだァ?」




『……その気も無いなら惑わすような事しないで頂戴!!』






独りよがりなのに。先生は何と思ったのだろうか。



小豆はいたたまれず、ベンチから立ち上がり、その場を立ち去ろうとした。





「わかったよ…ついて来い」
高杉は力強く小豆の腕を掴み、浅く溜め息を吐き出した後、有無を言わず、ぐんぐんと腕を引かれて歩き出していた。


『痛い!!どこ行くの?』



その問いに応えず黙って高杉は何処かに向かい歩いている。








そして、連れて来られたのは観覧車。


観覧車の隣りにある柱時計は12時を指している。





確かお昼に観覧車の近くのレストランに集合の筈。


『こんなの乗ってる時間ないよー。先生…レストラン集合の時間だよ…』


「うるせぇな…どうせ待たせるなら5分や30分も変わらねェよ」




半ば強引に観覧車に乗せられてしまった。



中に入っても相変わらず沈黙が続く。
時折ガシャンガシャンと機械的な音が鳴る以外音が無い。



高杉と向かい合わせに座るのだが、まともに高杉の顔が見られない。





観覧車は段々頂上に差し掛かる。




外を見やると秋晴れの穏やかな陽の光が遊園地内をキラキラと照らしとても綺麗だ。



『…綺麗…』


小豆は思わず座席から立ち上がり観覧車の窓から目の前に広がる風景に思わず見とれていた。








「小豆…」
不意に名前を呼ばれ声の主に視線を送る。


すると唇に何かが触れた




それは高杉の唇で






言葉が出ない


小豆は状況を呑み込む事が精一杯で言葉が見つからない。



「わかったかァ?俺の答えだ」
高杉は小豆の腰に腕を廻した。




『私……高杉先生が好き』やっと出た言葉だ。


「んな事は知っていらァ」口角を上げて高杉は言った。



そして、再び高杉は小豆の唇を奪う。
とろけそうな優しいキス。




゙エロ杉〜〜





観覧車の中なのに此処まで聞こえるぐらい外が騒がしい。




視線を下に向けると3Z連中が二人を指を差し騒いでいる。





…ヤバい。見られていた?




『せ、せ先生…。みんなにキス見られている!』
真っ赤になりながら小豆は高杉に言った。



高杉は鼻でくすりと笑う
「別に減るモンじゃねェし。ほっとけ」



そう言い、高杉は一層身体を密着させ小豆の唇を塞いだ。
三度目のキスは高杉先生の舌が口内に侵入し、身体の力が抜けるような濃厚なキスだった。






***


「高杉もベタなヤツでさァ。観覧車乗ってチュウするなんざお決まりコースでさァ」
3Zでは、私達の話題で持ちきりだった。











修学旅行も思い出に残るものとなり
あれから一ヶ月







『先生ーー!!お弁当食べよう〜』
保健室に小豆の声が響く。



『頑張って作ったよ〜!!食べよう』


「ああ。腹へった。飯、飯」

得意気に小豆はお弁当を開けた。




そこにはかわいそうな茹で卵とおにぎり。




「頑張ってこれかよ…一ヶ月も経つのに進歩ねェなァ。逆にどう握ればおにぎりがこんな形になるんだよ?しかも茹で卵。只煮るだけなのに何でこうなるんだよ?」


『違うんだって!唐揚げとかコロッケもあったんだけどコマが進んだらかわいそうな茹で卵になっていたの』




「意味わかんねー。……おまえなあ、もう少しで高校卒業するんだからもっと料理勉強しておけよなァ」







そうです

私達は高校卒業したら結婚の約束をしていたのです。





おわり






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