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□愛を囁く時は場所を考えて
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「おーいィィィ!!開けろォォォォ!!銀さんのプリンあげるからさ〜。お願い〜〜」


朝から悲痛な叫びを上げているのはそう、この物語の主人公の坂田銀時である。
10月10日、今日は彼の誕生日だ。
いつもやる気のない気だるさ全開の男なのだが、今日は目は血走しり、我を忘れて騒ぐ姿は、到底大人とは呼べない状況だった。


それを見兼ねた新八と神楽は呆れた声で訪ねた。


「銀さん。今日は喧嘩は長引いてますね」
「銀ちゃん。もうすぐお昼の時間ね。よきかな!のタモさん見ながらななこの作ったもっさり焼きそば食べたいね!だから早く仲直りするネ。焼きそばでタモリアワーしたいね」
「うるさいんだよォォ!!お子ちゃまは黙ってェェェ!!」
すかさず銀時の怒号が万事屋に響いた。


(…今回は喧嘩の原因なんですかね?)
(…銀ちゃんとななこ、昨日の夜中に喧嘩が始まったから、銀ちゃん、ななこにいかがわしい事を要求でもしたんでね?変態的なプレイを強要したんでね?…馬鹿だよね銀ちゃん。いいオヤジなのにちんこは中二アルネ!夫婦間でも合意の元で行為が行われないとDVアルよ!一方的に発情するのは定晴と同じネ!
家政婦は見たで言っていたネ!
(…か、神楽ちゃん。女の子なんだからそれ以上言わないで…。あと詳しいね…色々)


「聞こえてるんですけどーーー!!んな、俺はだな、ななこの美乳に生クリームをつけておいしく……って何言わせんだよォォォォ!…ちょ、アレだ、オシッコタイム」
銀時は困り果てた様子で、溜め息を吐き出し髪の毛をガシガシし掻くと厠に向かった。




「……もうななこさんも、朝ご飯も食べいないでお腹空いたでしょ?意地を張らないで出てきて下さいよ」
新八は心配そうに襖越しのななこに声を掛けた。

「……し、しん…新八君、……わたし…あのね…もう耐えられなくて……」

ななこの声は何時もよりトーンが低く、何かを耐え凌ぐ声に新八の心はチクリと痛んだ。
銀時とななこの仲睦ましい姿は、新八が将来嫁を貰った時の未来像に重ね合わていたからだ。
「…(ななこさん、銀さんの変態的な要求に嫌気がさしたんだ)ななこさん僕が見方につきます。そして援護射撃します!
……だから、銀さんと話し合いましょう。あの人、なんやかんやで話せば解る人ですよ」

「……でもこれは二人の問題だし。それに私が全てを吐き出せば…」

ななこは意を決したかの様に思えた。
そして、閉ざれていた扉は突如、豪快に開いた。

スパーーーンッッ



「…もう耐えられない銀さーーーん!!私もうダメェェェ!!」





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