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□愛を囁く時は場所を考えて
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血の毛を失い真っ青に青ざめたななこは何時もの穏やで気品漂うななこではない。最早人格すら変わってしまったかの様に思えた。
そして、猛ダッシュで銀時がいる厠へと駈けて行った。


「全てを終わらせてやるーー!!」

「ええええー!!ななこさんんん!」

新八は一瞬嫌な風景が頭を過った。
ななこは銀時に包丁で脇腹を一刺。血まみれで倒れている銀時の傍らに、憔悴しきるななこの姿。
辺り一面は血の海と化しそれはまさに地獄絵図だ。


「ななこさーんんん!!早まらないでェェェ!!そんな未来予測図は嫌だァァァァ!!」


新八の静止を振り切りななこは銀時がいる厠へと駆け込み、そして力強く厠の扉を蹴り飛ばした。


「な、な、ななんだ〜〜!?」
銀時はびっくりするものの、用便が終わらないのか立ちションを続けている。

そして、ななこは銀時に襲い掛かった。
「銀さァァァんん!」

厠の扉は宙を舞い、意表を突かれた情けない表情の銀時がスローモーションで振り返る。

「え?…えええええ!ななこちゃん?」
驚きを隠せず目を丸くする銀時の首根っこを掴みななこは投げ飛ばした。


「うほッッ!!」
ちんこ丸出しの銀時もスローモーションの如く宙を舞い、ちんこ丸出しで倒れ込んだ。


「…ゲボボボXYZ…」
無人の便所に、ななこは口から噴射の如く世にお見せ出来ない代物を便器に流し込んでいた。


一堂は唖然とその光景を眺めていた。




「お、おい、だいじょーぶか?ななこ」
おずおずと近づき銀時はななこに蚊の鳴くよう声で訪ねた。


ななこは胃に蓄えていた全ての物を吐き出し、すっきりしたかに見えた。



「ふー…」

ななこはトイレットペーパーで口元を綺麗に拭き取り、立ち上がった。


「…銀さん、わたしね、……赤ちゃん出来たみたい」


その言葉に皆は驚愕し口をポカンと開けた。


一番驚いているのは、そう、この物語の主人である坂田銀時かもしれない。


「…あ、あかちゃん…?」
下半身は丸出しのまま、目を丸くした。


「銀ちゃんパピーね!」
神楽は歓喜を上げ、逆立ちをすると、定晴に飛び付いた。



「銀さん…おめでとうございます」
「ワン!」
拍手喝采で万事屋一堂賛美を讃える。


「……俺が、お父さん…?」
下半身を晒け出し、呆気に取られた銀時の表情はみるみる明るくなっていった。

そしてゆっくりとななこに歩み寄る。




「二人で…餓鬼育てような」
「…はい」
嬉しそうにはにかみ、見詰め合うと二人は手を取り合った。







(…めっちゃトレンディドラマ仕立てだけど銀さん下半身丸出しだからね)
(銀ちゃんシリアス顔で格好付けても、ちんこ丸出しで最低アル!)




そんな内緒話を他所に銀時は続けた。
「ごめんな…昨日は俺、テンション上がってたから。プレゼントは何でもいいよ。ていうもんだから、…その生クリームプレイが夢だったし…」
「ううん。私こそ、ちょっと悪阻の症状で調子悪くてイライラしていたの。妊娠の事は銀さんの誕生日に報告したかったから…。
でも銀さん、生クリームプレイやエッチは当分御預けね!!」
「…ええええ!妊娠するとエッチ出来ないのォォォォ!?」
「ほら、赤ちゃんが突つかれてホクロだらけの赤ちゃんが産まれるそうよ」


「……へェ。そりゃ大変だ」




銀時は嬉しさと切なさが込み上げる瞬間だった。






おわり
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