SS

□熱に溶ける
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「もう寝たのか?」

布団を被りベッドに潜り込む私。

しんと静まり返った部屋にはもう熱は無くテーブルの上には、シャンパンとクリスマスチキン、グリーンサラダやケーキが手付かずのままでテーブルに並んでいる。


「クリスマスだもんな」
肩に積もった雪を払いのける土方さん。
ここ何日間はクリスマス寒波だって天気予報で言っていた。
意地悪をして暖房を消した部屋はそれを物語っている。


「悪かった……怒ってるよな?」

無反応のままでいる私は勿論怒っているのではない。
ちょっとひねくれていて出るタイミングを逃しただけなのだ。




彼の仕事は休みであろうが事件やテロとなれば呼び出しをくらう。そんな事は重々承知なのだ。



なんだか子供じみている。そんな自分も嫌いだ。


「後で温めてくれよな。マヨネーズもサンキューな」


この日の為に特大のマヨネーズも用意してた。
料理もシチュエーションも完璧な筈だったのに…。





土方さんは隊服の上着を脱ぐと部屋の灯りを消した。


「料理の前よりも…」

そう言いかけると彼は狸寝入りする私の布団に侵入してきた。

煙草臭い彼の香り
いつもよりも煙草臭ささに今日は相当苛々していたんだろうな。思わずそう思った。


「料理よりも…おまえを喰いたい」
そう言うと荒々しい口付けが襲ってくる。

思わず狸寝入りがばれてしまいそうで頑なに瞼を瞑った。


「寝てる割には感度はいいな」

土方さんは私のフリースのジッパーを下げた。

思わず手で胸元を覆いたくなる衝動をぐっと堪える。


熱を帯びていく身体は土方さんを求めているようだ。


フリースを下げ、キャミソールが露になる。

今からはじまる行為に期待している自分がいた。


「乳首がやらしい」

びくひぐと反応しそうになるのを堪えて、ひたすら狸寝入りをした。
すると土方さんは厭らしく胸の突起を指で弾く。


私は愛撫に耐えられず寝返りを打った。


「今夜はたんまり味わうとするか」


不敵に笑う土方さん。そして、私を正面を向かせ組み敷くと胸を厭らしく揉み耳朶を甘噛みした。



ふさふさと頬に触れる土方さんの髪は冷たく、胸を揉む指も冷たくて一層私の目を醒めさせた。


「今日は何回イカせようかな」

色気のある声で耳元に囁いた。


狸寝入りもいつまで続けたらいいものか。
ますますタイミングがわからなくなり、下唇をぐっと噛みしめた。






fin

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