Short Story

□煙草とマヨネーズとアイツ
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5時45分
いつもこの時間にあの人がやって来る。

あの人は、真夏でも全身黒尽くしの服装、そう真選組の人だ。
上下真っ黒だから自動ドアが開いた瞬間にわかる。
 その人は自動ドアが開くと、吸っていた煙草を胸元のマイ灰皿で火を消し、店内に入るとまず、入り口手前の雑誌コーナーを通り、ジャンプかマガジンを、一通り立ち読みする。
 たまにエッチなシーンがあるのか、それとも面白いシーンがあるのか知らないが、たまにニヤニヤしている。ちょっとキモかったりする。
 そして、堂々と長時間立ち読みすると、決まって日配コーナーに回りマヨネーズを取りレジカウンターに精算にくる。


それから
「マイルドセブン」
煙草を買う。
これが彼の日課だ。

始めは気が付かなかったけど毎日毎日こうマヨネーズと煙草を買う人なんてそうはいないじゃない?


だから不思議に思ったのが切っ掛けで、その人を気になるようになった。

あの人、毎日毎日この二つを買うものだからレジを通さなくても値段暗記しちゃったじゃない。
どうしてくれるのよ。
なんか違う役に立つ事を覚えたいじゃない。とか何とか私は思いつつ、
『615円です』
いつものように値段を言う。


この値段は私だけではなく、彼も聞き慣れた値段で私が値段を言う前に、財布から小銭をあさりカウンターにお金を置く。
しかも、だいたいぴったりの値段で。



 でも、なんでマヨネーズ毎日毎日買うんだろ。
マヨネーズなんてそうそう減るものじゃないじゃない?
しかもスーパーの方がコンビニなんかより安いのに。毎日買いに行くならいっその事、業務用スーパーで買えばどんだけ特なんだろうか……。はっ、節約バラエティー見すぎだな。こりゃと、自分にツッコミを入れた。


……そして、いつか聞いてみたい『マヨネーズそんなに何につかうですか?』
って。




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