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□今宵、月が見えずとも
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閉じていた目を開く。
無意識のうちに譜歌を歌い終えていた。
…いや、マネゴトというところだろう。
「…ルーク」
彼女の名前を呼ぶ。
「ねぇ…貴女はどこにいるんですか?!」
塞き止めていた感情が溢れ出す。
「かえって来てくれるんじゃなかったんですか?
…そばにいてくれるんじゃなかったんですかっ!?」
届くはずもない言葉を叫び続ける。
「ルーク…!」
か細い声で彼女の名前を呼んだ。
足元には小さな雫で濡れた後が残っていた。
―ジェイド…
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