toa
□カルマの坂
4ページ/7ページ
俺は夕暮れを待って剣を盗んだ。
俺の体には不釣り合いな少し重たい剣。
それを引きずる姿は、風の様には悲しすぎるだろう。
目的地の屋敷を睨み上げ
カルマの坂を上った…。
「…待ってろよ」
誰に向けたのか、何に言ったのか。
それすらもわからない言葉は風に紛れた。
俺は、ただ坂を駆け上がる。
…口元に弧を浮かべて
屋敷に忍び込み、向かってくる大人達をひたすら斬った。
もちろん、剣なんて使ったことがない。
だが、それは己の体の様に自由に動いた。
まるで怒りと憎しみが具現化したかのように…。
.