tos(R)
□絶望に願いを込めて
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「あんた、馬鹿かい?」
「は…っ?」
はぁ、と溜息を吐くしいなに疑問符を浮かべる俺。
それは否定を意味するのかと思い、少しだけ恐怖に駆られる。
「いいに決まってんでしょ?」
どーんと任せな、と言ったしいなに対し、思わず微笑む。
「…ゼロス?」
「何だ?」
「…勝手にふらふらいなくなるんじゃないよ!!」
まるで俺の本心を汲み取ったかのように言われたその一言に固まってしまう。
彼女にはばれているのだろうか?
俺のしようとしていることが…、
「しいな…」
「何だい?」
何食わぬ顔で返事をしたしいなに俺は戸惑う。
こんな事、聞けねぇよな。
「…やっぱ、何でもない」
「…はっきりしないゼロスだねぇ、」
まっ、いいか、と言ってしいなは俺に背を向けた。
「あんたも早く休みなさいよ!!」
おやすみ、と言って微笑んだ彼女に、あぁ、と軽く手を振る。
「当たり前…だったんだな、」
自分にとっては何ともないことが彼女にとっては当たり前で、自分の後を自然と任せられたのは彼女のおかげなのか。
勝手にいなくなるな、と言われた時に何故かすごく嬉しくなって、だけどそれと同時に罪悪感を感じて。
「…信じてもいいんだな」
ポツリと小さく呟いて、俺は空を見上げた。
絶望に願いを込めて
(絶望の中に込められた、)
(一握りの願いを、)
(…信じてもいいですか?)
end.