Promise YOU
□Promise YOU ]W
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「…今から、マリー・パーファシーの手術を始めます」
アレルヤの単調な声と、よろしくお願いします、という声を聞いてマリーの意識はフェードアウトしていった。
Promise YOU
手術から2週間が経った。
マリーの手術はもちろん成功して、彼女は色を取り戻した。
そのことはもちろん喜ぶべき事だ。
しかし、思いの外、彼女の回復が早くて退院が予定より早まったのだ。
退院までに彼女の記憶は戻らなかったため、今は精神科の方に主治医を変えて…といっても、刹那なのだが、彼がマリーを見ているのだ。
だが、記憶はある程度までは回復しているため後は本人次第といって、無理な通院より普通の生活を、と刹那は言ったのだ。
そのため、アレルヤもマリーも会う手段が無くなってしまったのだ。
(…どうせ、医者と患者の関係だ、)
そう心に言い聞かせても、チクリと痛む感覚が目覚めるだけで。
(…本当に、それだけ?)
医者と患者、幼い日の約束…しかも曖昧過ぎる。
「…違う、」
違うんだ。
そんなんじゃないんだ。
何でこんなに頑張ったんだろう?
ただ、患者だから?
約束したから?
「…違う、」
今更、気づいてしまった感情。
「…僕は、」
―好きになってしまってたんだ。
「…マリー、会いたいよぅ、」
涙混じりに零れ落ちた言葉はただ、水色の空に消えていくだけだった。
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