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□赤点クライシス
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「…うっそでしょーっ!!?」

担任から渡された一枚の紙切れを見てアニスは悲鳴をあげる。

「嘘じゃないですよ、」

そう言って担任であるフリングスは苦笑する。

「ちゃんと参加するんだよ?」

そう言ってフリングスは職員室へ戻って行った。






















1年B組アニス・タトリン
あなたは今回の期末テストの点数がそぐわなかったため、夏季補習に出席していただきます。

一枚のB6サイズの紙にはそう記されていた。

「…うぅ、嘘でしょ、」

はぁ、と溜息をついてアニスは重い足取りで教室に向かう。

勉強はしたはずだった。
しかし、実際、点数はついて来なかったのだ。
否、嫌いだからという理由で理科だけ手を付けていなかったのだ。

「…トータルなら、」

学年トップ10に入れるほどの学力がある。
しかし、理科単体で見られると非常に痛いのだ。

「…はぁ、」

先程から口から出るのは溜息ばかり。
せっかくの夏休みなのに、まさか学校に来るはめになろうとは。
友達との約束もすべてキャンセル。
別に、補習をサボることは簡単だったが、サボった後が怖いことをアニスは重々承知していたのだ。




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