tos(R)
□cogwheel-ハグルマ-
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必ず迎えに行くから…
だから、待っててほしい。
何年の時が過ぎただろうか。
私が息子を捨ててから。
季節は春を迎えていた。
あの日も今日みたいに桜が舞っていたな。…などとセンチメンタルな気分になりながら昔を思い出していた。
「クラトス」
自分の名を呼ばれ、振り返るとそこには蒼髪を一つに結わえた同期の男が立っていた。
「ユアンか…」
「まったく、人手不足だというのにそんなところでボッ立ってるな」
「すまない」
「明日は入学式なんだぞ。
書類の方も山積みになってる。
自分のクラスの書類くらい目を通しておけ」
散々説教をした後、ユアンは校舎に戻っていった。
『cogwheel-ハグルマ-』
私立交響学園。
有数の進学校で様々な分野に通用する人間を生み出している。
クラトス・アウリオン。
この学校に通う教員である。
入学式…今日と言う日が彼にとって特別な日になるとも知らず…。
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