tos(R)
□Dear My Partner
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忍び寄る無数の屍
今まで自分が手にかけてきた人
自分の父の組織によって殺された人々
後退するも後ろは底無しの闇
自分を屍の中に引きずり込もうとして手首を掴まれた
声に出ないほどの恐怖にかられる
「…やっ。…いやぁぁぁぁ!!」
やがて声が出たかと思うと、そこに屍はなく綺麗に整えられた宿屋だった。
「夢…か…」
そう呟き、自分の服の胸のところを掴む。
自分の息は荒く、服は汗で濡れている。
―コンコン…
「マルタ…?」
ノックと一緒にエミルが顔を覗かせた。
「エミ…ル…」
ふと涙が零れ、それを見て困惑するエミルが近くに来た。
「ど、どうしたの!?」
「怖い夢を見たの…。」
マルタが徐々に口を開き始める。
「死んだ人が沢山…アタシの方に来るの…。
それでアタシを闇に引きずり込もうとして…手を掴んで…それで…」
「マルタ…」
そっとマルタの手に自分の手を重ねる。
「エミル…?」
「周りがどんなに咎めようと、どんなに罵ろうと…僕はマルタの味方だから。
…っても、僕じゃ頼りないかな?」
「ううん。そんなことないよ」
「よかった」
しばらくの沈黙が流れた。
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