Promise YOU

□Promise YOU W
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9階でございます、と相変わらず無感情なのアナウンスを聞き、エレベーターから下りる。
目的の病室の前につき、コンコン、とドアをノックする。

「どうぞ」

その声を確認してアレルヤは病室に入る。

「こんにちは」

相手には見えないが笑顔で語りかける。

「今日はプリン買ってきたよ」
「いつも済まない」
「うんん、病院食だけじゃ栄養不足だからね。はい」

ありがとう、と手渡されたプリンのフタを開け、それをスプーンで口に運ぶ。
本当に目が見えてないのか、と疑うくらいにその手つきは巧みで、アレルヤはいつも驚かされている。

「プリン、おいしい?」

コクリ、と頷くのを確認してニッコリと笑う。

「よかった。
一週間前…入院当初より体調の方は回復してるみたいだね」
「はい」
「顔色もいいし、やつれてたのも治ってきたしね」

よかった、と付け足して話を続ける。

「で、今日の手術何だけど…」
「やります」
「…無理、しなくていいんだよ」
「してません」
「そっか…じゃぁ、今日の夕方6時から」

わかりました、とマリーは短く返事をしてプリンのカップを置く。その手が僅かに震えてるのを捕らえ、アレルヤは不思議そうに問う。

「マリー…さん?」
「何だ…」
「やっぱり、手術って怖い?」

アレルヤの言葉を聞き、ビクッ、と肩を震わせる。まるで図星と言わんばかりに。

「…大丈夫。無理な事はしないし、必ず成功させる」
「……」

無言になったマリーの手を取り、優しく微笑む。

「怖いなら、怖いって言って。
苦しいなら、苦しいって伝えて」

無理にとは言わないから、付け足して、自分より華奢で小さな手を包み込む。

「貴方はホントに変わり者ね」
「やっぱり?」
「こんなに正直な医者、初めてだもの」
「弟にもよく言われるよ」
「弟…?」
「うん、この病院にいる双子の弟。
ヤクザみたいな性格なのに小児科医だよ。」
「変わり者兄弟ね」

クス、と少しだけマリーは笑った。




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