Promise YOU

□Promise You Y
2ページ/6ページ


「何で…、麻酔使わないんですか…」
「ちゃんと向き合いたいから。
苦しんでる人をほっときたくないから…。
ただの偽善に聞こえるかもだけどね」
「でも…っ!!」
「麻酔で黙らせたって問題は解決しないし、そんなの逃げてるだけだ。
僕に出来ることなら、僕の力で何とかしてあげたいんだ」
「…初めて…です」
「えっ?」
「初めて、そんな事言われました…」

ギュッ、とアレルヤにしがみつき、鳴咽を漏らしながら口を開いた。

「…何種類もの薬を投与されて…目が覚めれば麻酔うたれて…死にたかったっ!!苦しい思いをするくらいなら…っ、死んだ方がマシだった…っ!!!」
「…頑張ったね」

そう言って、思いきりマリーを抱きしめる。

「我慢しないで。…泣いていいんだよ?」

その言葉を聞いたからか、彼女は声を上げて泣いた。
包帯の外れた金色の瞳からは大粒の雫が零れ落ちる。

―温かい…人ってこんなに、温かいんだ。こんなに優しかったんだ…。

初めて本当の優しさに触れ、生まれた時以来の涙を流した。
そんな彼女をアレルヤはただ抱きしめていた。
何をするわけでもなく、ただ、彼女のそばで温もりを与え続けた。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ