Promise YOU

□Promise YOU ]V
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「…僕だって、怖いんだ、」
「先生、」
「もし、君が君じゃなかったら…って考えると、どうしようもなく苦しいんだ」
「…私だけじゃなかったんですね、」

安心したかのようにマリーは笑う。

「マリー?」
「…ずっと、考えてたんです。私が先生の中の私じゃなかったらどうしようって」
「…それは、」

答えが見つからずに視線を泳がせているとマリーは悪戯っぽく笑った。

「でも、もう大丈夫です」
「え…っ?」

困惑するアレルヤに繋いだ手を見せ付けるようにギュッと握る。

「…私には、先生がついてますから」

(…あっ、)

そう言ってニッコリと笑ったマリーにあの日の面影が重なる。

(あの時、)

―…私には、アレルヤがついてるから、

遠い記憶の中に儚気に笑う白い少女。

(重なる…、全部が、)

目の前の女性が自分の中のすべてに重なってしまう。

「…マリー」

そっと抱きしめようと手を伸ばした時だった。

『…2階でございます』

無機質なアナウンスがエレベーターに響き、自動的に扉が開く。

「…行こうか、」

やり場のなくなった手をおろして、繋いでいた手も離す。

いくら目の前の女性が自分の記憶の中にあったとしても、自分は医者で、彼女は患者。
しかも、今から手術をする相手にこんな情を持つなんて馬鹿げている。

手術室までの道程を二人はただ無言で歩き続けた。



To Be Continued.
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