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□今宵、月が見えずとも
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「久しぶりですね…」
つい口から零れ落ちた言葉。
「カーティス大佐!!準備の方、完了致しました」
一人の兵士がジェイドに向かって敬礼をした。
「よし。各自持ち場につけ。
刃向かうものは殺すも何も好きにしろ。
ただし、首謀者とレプリカと思われる者は殺すな…」
「はっ!!」
部下に命令を降した後もう一度、本日の任地…栄光の大地を見回した。
思い出に浸っている場合ではない。
今回の任務は、ここに巣くう賊の処分。
ジェイドは正直、乗り気ではなかった。
かつての仲間達と戦った最後の地。
そして…愛しい彼女を失った地でもあったからだ。
その分、怒りも覚えた。
神聖なるこの地を拠点にしている賊。
汚されたくない場所に汚れを持ち込む。
その行為はここで果てた者達への冒涜でもある。
「さて…やりますか」
はぁー、とため息をつき自分も歩き出した。
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