toa

□今宵、月が見えずとも
2ページ/9ページ


「久しぶりですね…」

つい口から零れ落ちた言葉。

「カーティス大佐!!準備の方、完了致しました」

一人の兵士がジェイドに向かって敬礼をした。

「よし。各自持ち場につけ。
刃向かうものは殺すも何も好きにしろ。
ただし、首謀者とレプリカと思われる者は殺すな…」

「はっ!!」

部下に命令を降した後もう一度、本日の任地…栄光の大地を見回した。

思い出に浸っている場合ではない。

今回の任務は、ここに巣くう賊の処分。

ジェイドは正直、乗り気ではなかった。
かつての仲間達と戦った最後の地。
そして…愛しい彼女を失った地でもあったからだ。

その分、怒りも覚えた。
神聖なるこの地を拠点にしている賊。

汚されたくない場所に汚れを持ち込む。
その行為はここで果てた者達への冒涜でもある。


「さて…やりますか」

はぁー、とため息をつき自分も歩き出した。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ