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□Marmaid Tear《前編》
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「ぷはっ」
「あれが船なの?」
「そうだよ」
「ふ〜ん」
ティアとアニスは海面から少し頭を出し、船の様子を見ていた。
「ティア、気は済んだでしょ?さっさと帰るよ」
「えっ、もう少…」
「ダメ!この嵐だよ!?
この船はもうすぐ壊れるから早く帰ろっ」
「壊れるって…中にいる人は死んじゃうじゃない!」
「そーだよ!ほら、早く帰…」
「助けなきゃ!!」
「そーだね…って、何言ってんの!?」
「だって…」
ティアが言葉を紡ごうとした時だった。
今までとは比べものにならないくらいの強風が吹き、不安定だった船は呆気なく転倒。
乗組員共々、海の水雲だ。
「言わんこっちゃない…って、ティア?!」
愚痴を零しつつ隣を見るとさっきまでいたはずのティアが消えていたのだ。
「もぉ〜!こっちの身にもなりやがれ〜っ!!」
またしてもアニスの叫びは虚しく散った。
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