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□カルマの坂
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「待ちやがれっ!!」
醜い大人達の罵声を聞きながら、本日の戦利品であるパンを抱えながら裏路地へと逃げた。
「はっ、テメェらみたいな豚に追い付かれてたまるか!!」
俺は自慢げに呟いてみせた。
…威張れる事じゃないけど
裏路地の隙間から通りを見ると何やら人だかりができていた。
先程の店主に見つからないように人だかりに紛れ込む。
どうやら、また人が売られて来たみたいだ。
もちろん行き先は、この街一の富豪…モースのもとだ。
どんな人かと気になり、人だかりの先頭の方に行く。
馬車の中からチラリと見えた人影に驚嘆した。
売られてきた人は、自分と同じ歳くらいの少女で亜麻色の髪とラピスラズリのような瞳を持っていた。
(…何だ、この感覚)
思わず見とれてしまった。
我にかえり、慌ててその場を去った。
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