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□君がいるだけで
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「…ここですか、」
辿りついたのは、帝都の外れにある用水路で、犯人が隠れるのにはうってつけだった。
「まぁ、犯人が可哀相なのでさっさとアレを連れていきましょうか?」
「お前、ホントに無礼者だな」
普通なら不敬罪だぞ、と言ったルークに、私が法律です、と返すジェイド。
たしかに、法の番人(?)だった気もしなくはないが、それは違うのでは?と思ったが、口には出さなかった。
「じめじめしてるな…」
「そりゃぁ、地下水路ですからね」
いくら水の都といえど、用水路までは綺麗というわけではなかった。
「足元には気をつけてくださいね」
「おう…って、うわぁっ!!」
返事をした矢先、足元に広がっていたコケで滑り、バランスを崩す。
「ほら、言った通りじゃないですか」
間一髪のところでジェイドに助けられたルークは頭上から聞こえる声に顔を赤くした。
「ごめん」
「無事だったからいいですよ」
そう言って体を自分から離すと、代わりにルークの手を握った。握るというよりは指を絡めたの方が正しいのだが。
「ジェ、ジェイド!!?」
「こうすれば安全でしょ?」
さぁ、行きましょうか、と言ったジェイドに少しドキドキしながらルークは進んだ。
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