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□放課後トワイライト
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「いや、いいよ」

定時の人かな、と聞けば目の前の少女は、はい、と頷く。

「まだ、定時の授業までは時間あるよな?」
「はい…、ちょっと早く来ちゃって」
「あはは、たまにあるよな」

ですよね、などと他愛ない話をしながらガイは机の中をあさる。

「…ここ、あなたの机だったんですか?」
「あぁ、今はな、」

席替えしたばかりだから、と言えば納得したように頷いた。

「…おっ、あった、」

そう言ってガイは机の中からお目当ての雑誌を引っ張り出した。

「あっ、それ…」
「知ってるのかい?」
「知ってるもなにも、毎月読んでますよ」

立ち読みですが、と笑いながら答えた。

「たしかに、これ、高いもんな…、」

手元にある雑誌…月刊音機関の裏表紙の定価を見て苦笑する。
普通の月刊誌なら400〜500円ほどで手に入るのだが、月刊音機関の定価は890円(税込)なのだ。

「それって、今月号ですか?」
「あぁ、そうだよ」

まだ読んでないのかい、と聞けば、こくりと頷く。

「…貸そうか?」
「…えっ?」
「俺、一通り読んだしさ」

読み終わったら机の中に入れといてくれればいいから、と言ってガイは少女に雑誌を手渡す。




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