宇宙一の戦闘種族と言われるだけあって夜兎の肉体は強靱だ。

生まれ持った高い運動能力故に戦闘中に怪我を負うこと自体が少ないがもしそうなったとしても、夜兎にとってはたいした問題ではない。

刀に斬られようが銃に撃ち抜かれようが大体の怪我は次の日には癒えて、しばらくすれば傷も残らない。

治癒力の高さは人間のそれとは比べ物にならないだろう。



勿論病にしたってそれは同じのはずで。


なのに、これは一体どうしたことだろう。

ついさっきまでは普通だったはずの体は今では嘘のようにだるい。


視界は歪んでいるし、涙が出そうなのはもしかしたら熱があるのかもしれない。

所謂風邪の症状だろう。



今までだって風邪位ひいたことはあってそれなりに辛かったけど、あの時はまだ軽口をたたける余裕があった。

今回はそんなものは皆無だ。



さらに運が悪いのは散歩中だったが為に此処が外で、周りに人がいない、ということだろう。


なんとか壁伝いに体を支えながら家を目指していた私は、しかしとうとう地面に座り込む事になった。


これは、いよいよヤバイのかもしれない。
誰でもいいから助けてくれないか。



「チャイナ?」


・・・・・・前言撤回。
こいつかよ。


よりにもよって目の前に現われたのは自他共に認めるドS野郎だ。

こんな姿を見られたら何を言われるかわかったものじゃない。


けれど私の予想とは反して珍しく驚いた様な声を出しながら駆け寄ってくるあいつの姿が可笑しくてこんな状態なのに思わず笑った。






「大丈夫かィ?」

沖田の手によって近くの公園に運ばれた私の体はベンチに横たえられていた。


口を開くのも酷く億劫で黙っていると額にヒヤリと冷たい物が乗った。

見ると、何時もは欝陶しそうな首元の白い布が無かったから、私のおでこにあるのがそれだと理解する。


顔を合わせれば喧嘩ばかりの男に看病されるとは思わなかった。

さすがのこいつも病人相手にはそれなりの態度で接するということか。




「旦那の家まで送ってってやらァ」


突然奴が言い出した言葉に間抜けな顔をしていただろう自覚がある。


病人の私がそう言われるのはごく当然の事かもしれないけど、こいつが言うとなんだか裏がありそうだ。


私が考えていることの予想がついたのか肩を竦めて沖田が口を開いた。


「一応警察なんでねィ
立場上こういうのは見捨てられないんでさァ」


そう言うと有無を言わさず私を背中に担ぎ出す。

突然の行動に私は抵抗しようとして、だけどまだ体は怠くて結局大人しく体を預ける事にした。


規則的な振動が眠気を誘う。
安定を求めて目の前の黒い隊服を掴もうとしたがそれもなんだかしゃくで、代わりに体を起こした為におでこから落ちてしまった布をぎゅっと握り締めた。


密着する体から伝わる体温が何だか心地いい、なんて

そんな事を思うのは、





熱い頬も高鳴る鼓動も何もかも熱のせいだと言い聞かせた。







上昇体温
(君を、想う)








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遅くなりましてすいません!
しかも、文もまとまってないし・・・・。
でも愛だけはこもってます!
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