[ショート・ショート]
□【優しい雨】
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激しい雷雨の夜。
雷に怯えた子猫…と、子猫を連れた少年。
彼は、突然やってきて、泣きだしそうな瞳で、俺に救いを求めてきたのだった。
「うちでは、飼えないんだけど…こんな日に公園で捨てられたダンボールの中でうずくまってたんだ…! 放っておけなくて……」
少年は、俯き加減で言った。
確かに、放っておくのは可哀想だけど…。
俺にだって、飼ってやることは出来ないのに。
「今日だけだぞ…。お前が、きっちり飼い主になってくれる人を探せよ」
俺は、負けた。
あの可愛らしく、弱々しい子猫よりも、それを必死に守りながらも救いを求めて俺のもとにやって来た少年に。
彼は、嬉しそうに破顔した。
「とにかく、上がれ」
俺は、ずぶぬれの少年と、子猫にタオルを出してやった。
END