[ショート・ショート]

□【今夜、僕のとなりで。】
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 そう伝えると、彰悟は一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐにむぅ、と拗ねた顔をする。
「執筆中はいつも忘れてるくせに」
「そんなことないよ」
「嘘だ」
「ホントだよ」
……というやり取りを何度かして、二人とも黙り込んだ。
 啓介は抱きついたままの彰悟の胸に耳を充てる様にして、擦り寄る。
 雨は小降りになったのか、少しおとなしくなっていた。
「遠くに行かないで…。ずっと俺の側にいて…」
 彰悟が啓介の頭を抱いて、ぽつりと呟いた。
 啓介にはそれが彰悟の胸の中から直接伝わるように、聞こえた。
 啓介は彰悟の心地よい腕を抜け出し、立ち上がると、ベッドへと戻り、腰を下ろした。彰悟も後に続き、ピッタリとくっついて隣に座った。
 指を絡ませ、互いを見つめあう。自然に瞼が閉じていき、ごく自然に唇が触れ合う。口付けは徐々に深くなっていき、終いには濃厚なキスになる。舌を絡ませ合い、唾液の混じり合う音さえ響く。
「っ…ふぁ……ん…」
 啓介の唇から喘ぎが零れ始め、彰悟にそっとベッドへ押し倒された。
 さっきしたばかりなのに……。 苦しい息でキスを紡ぎながら思ったが、最近会えなくて、ずいぶん寂しさを味わわせてたんだな、と思うと、まぁ、明日も仕事は休みだし、いいか。…そう思ってしまう。
 そして、ふたりは互いの体温を感じながら、久しぶりの甘すぎる夜を過ごしたのだった。




END

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