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□銀色キラキラ
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第1話 (2/2ページ)
『無いなら俺が付けてやるよ』
は?と言う様な顔でヅラは俺を見て、一瞬キョトンとした先生はやがてフワリと微笑んだ
そして、銀色は俯かせ気味だった視線を上げ、俺を見た
えっと、せっかく綺麗な銀髪なんだから…………よし!
『銀…』
だけじゃ芸がないからな…
『…時、うん!
銀時でどうだ?名前!』
「…銀髪だから銀時って、安易だな?実に子供の考えそうな事だ」
『あぁ!?
なに言ってやがる。実際、俺は子供なんだよっ!』
呆れた様にヅラが言うから俺は切れ気味にそう返す
「…銀時か。良い名だ」
すると、先生が銀色の髪を撫でながら優しく目を細めた
「…いい、な?」
銀色は先生を見上げ、聞き返す
「えぇ。とても良い名前です。良かったですね、銀時」
「…」
先生の言葉に、銀色は目を見開くと、また俯き
「…ぎん、とき。
ぎんとき…ぎんとき」
何度も自分の名前を繰り返した。ほんのり頬を染めている様で…その姿は、心なしか嬉しそうに見える
満足げにそれを見つめていると、今度は先生の手が俺の頭に置かれた
『っ!?』
「晋助は優しいですね」
撫でながら言う先生に
『べっ…別に///』
俺は照れ隠しの様に素っ気ない返事をした
その時、先生の言葉を聞いた銀色がパッと俺を見て、遠慮がちに、でも慌てた様に俺の着物をクイッと引っ張った
『っ……な、なんだ?』
聞けば、銀色は赤い瞳で俺を見て言った
「…し…しん、すけ
ぁ…ありがと」
『…っ』
や…やられた………。
何をかは分からねぇが、今なんかズキューンって来た!
心臓ズキューンって!!
『ぉ……おぅ///』
な、なんだ?
俺の心臓、すげぇドキドキ、バクバクいってんだけど
俺、病気なの?
なんて事を考えながら胸に手を宛てていると、先生は銀色に向き直った
「では銀時、他の皆が来る前にサッパリしましょうか?」
「?」
先生の言葉にハテナマークを浮かべる銀色
「頬なんかが少々汚れている様なので、お風呂に入って綺麗になってから、皆に会いましょう!」
「…おふろ」
「一人で入れますか?」
銀色と同じ目線までしゃがんで聞く先生に、銀色が返事をする前に俺は口を開いた
『…先生っ!こいつ一人で心配なら、俺……一緒に入ってやってもいいぜ?』
べ、別に変な下心とか無いからな。ってか、下心って何だよ?
俺は、ただ、こいつが一人で風呂なんて何か不安だからしょうがなく付き合ってやるって言ってるだけだ…。うん、そうだ!
「そうしてもらえると助かります。お願いしても良いですか?晋助」
『はい』
先生に返事をしてから銀色に視線を向けた
『って、事だ。
俺が一緒に入ってやるからな。………まぁなんだ、男同士、裸の付き合いで友情を深めようや。いや、別に深めたい訳じゃねぇぞ?勘違いすんなよ!?』
「「…」」
この時、先生とヅラは
「「 (…ツンデレ) 」」
そう思っていたらしい
銀色は、俺の言葉にジッと俺を見て、軽く頭を横に振った
………ムッ
『………何だよ。俺と一緒に入りたくないってのか?』
銀色の態度に俺は無意識に声が低くなる
「…だって、いま…おとこどうしっていった」
『…は?』
銀色の返事に意味が分からなくて聞き返していると、先生とヅラも分からないらしくハテナマークを浮かべている
「…だって…おとこじゃないもん、わたし」
・・・
「「『………わたし?』」」
………暫しの沈黙
そしてやがて
「…銀時?………あなた、女の子…なんですか?」
先生が躊躇いがちに聞けば
「?…うん」
銀色は何でそんな事を聞くんだろうと言う表情でキョトンとしながら頷いた
「…ご、ごめんなさい銀時。私は、てっきり男の子だと思っていました」
「…すまん。俺もだ」
先生とヅラは申し訳なさそうに続けて謝った
「…べつに、へいき」
銀色は本当に気にしていない様子で頭を横に振った
一方、俺はと言うと…
銀色が女だと言う事に心臓がバクバクと高鳴っていた
………お、おんな?
こいつが?…おんな、女
う、うれしい!
そうか…そうなんだ!
俺は、この時はじめて自分の気持ちに気がついた
俺は…こいつが、この銀色が
…銀時が好きなんだ
男だと思ってた。でも銀時は本当は女だった。
うん、障害はない
俺は…銀時が欲しい!!
絶対、俺のものにしてやる!
高杉晋助、6歳。
初恋をして、そう心に違ったのだった。
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