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□銀色キラキラ
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第7話 (1/2)
それは、銀時が松陽の元で生活を始めてから半年以上の月日が過ぎていた6月下旬の事。
いつもの様に松陽の授業が終わると、大半の生徒は帰って行ったが、少しでも銀時と一緒に居たい高杉と、授業でちょっと分からない所があって松陽に質問しようとしていた真面目な桂は教室に居座っていた。
桂が松陽に説明を受けている間、高杉はちゃっかりと当然といった感じで銀時の隣を陣取る。
しかし、今日の銀時の様子が少しいつもと違う事に、高杉は眉を寄せる。
銀時は、桂の事をジィーっと見ているのだ。
桂が銀時の視線を独り占めしている事が面白くない。
「ありがとうございました、先生」
「………あのよぉ銀時…」
その時、復習を終え、桂が教室を出ていく松陽を見送りながら礼を言ったのと、高杉が銀時に喋り掛けた声が重なった。
「っ!あ!あのね!づらぁ!」
しかし、集中して桂を見ていた銀時には、残念な事に高杉の声は聞こえていなかった。
「ヅラじゃない桂だ!ん?なんだ?銀時」
銀時にそのつもりは無かったのだが、結果的に銀時に無視されてしまい、高杉はガーンと目に見えてショックを受け固まってしまった。
「あのね、あのね、ちょっとまってて!」
そんな高杉に気づかず、銀時は桂に駆け寄り、そう言葉を掛けると、いったん教室を出ていってしまった。
しかし、すぐトテトテトテッと足音をさせ銀時は教室に戻って来た。
高杉はまだショックを受けたままである。
「あのね、あのね!はいっ!これあげる!」
キラキラキラッと瞳を輝かせ、銀時は桂に花を差し出した。
「花?」
銀時の両手いっぱいにある、名も無いような野花の数々に、桂はパチクリと瞬きをした。
「あのね、しょうよせんせにきいたの。づら、きょうたんじょうびだって。だいすきなひとのたんじょうびには、おいわいのきもちをこめてね、ぷれぜんとするんだって!」
銀時の言葉に、桂は目を丸め、高杉は目を見開き気分はどん底へ。
「銀時は、俺の事を大好きでいてくれるのか?」
桂は目を細め嬉しそうにした。
「うんっ!だいすきだよ!!だからはいっ!おめでとっ!」
勿論、銀時の言う‘大好き’とは、友達として…。そんな事は桂も分かっている。
だから動揺する事なく花を受けとると、銀時の頭をナデナデとしながら礼を言った。
「ありがとう、銀時」
「えへへ。ぎんね、いつももらってばっかりだから、だれかにぷれぜんとしたのはじめて!!」
どこか嬉しそうに頬をほんのり染め言う銀時は(誰の目から見てもだが、高杉にとっては尚更)破滅的に可愛かった。
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