♂ ♀


□銀色キラキラ
6ページ/17ページ

第3話 (2/2)




その時、高杉はハッとした


ま、待てよ?
 今、銀時を高杉って苗字にして…もしこの先、本当に銀時を俺の嫁に迎い入れるって事になった時、元々銀時の苗字が高杉だったら…


結婚した!って言う感動や、実感が物足りねぇな…。


全然違う苗字から俺の苗字を名乗る銀時っつうのも…堪らないものがあるな…うん。


と、高杉の中では将来、銀時と結婚するという事は決定している為、今、銀時の苗字を高杉にと言う自分の提案を却下した


「えっと…」


「えっと?」


首を傾げた銀時に、高杉は
 あ、今コイツちょっと勘違いしたな、と気づき、慌てて否定をする


「Σ違うっ!違うからな?‘えっと’じゃねぇぞ!?苗字。そうだな…ん〜…

………さ、坂田」


「さかた?」


「…高杉、お前……今、適当に付けただろ?」


銀時が繰り返している横で、桂は呆れたように言った


「あぁ?別に適当になんて…付ける訳ねぇだろ!?」


図星であった。
 将来、どうせ銀時の姓は‘高杉’になるのだから(あくまでも高杉の思い込み)今はどんな苗字だっていいだろうと思ったのだ。


だが、適当に自分の苗字を付けた、と銀時に知られ嫌われたくない高杉は嘘をついたのである。


しかし、高杉のそんな心配も無駄な事で…、銀時はもう、桂の言葉も高杉の言葉も耳には入っていなかった


「さかた…さかた
   さかた ぎんとき」


頬を赤らめ、銀時は嬉しそうに自分の名前を繰り返す


その姿を見て、高杉も嬉しそうに微笑む


い、今なら
 銀時の頭を撫でても不自然じゃないよな?よしよし、嬉しいか?みたいな流れで!


チャンスだよな?コレ!


と、高杉は純粋な気持ちからでは無く、ヨコシマな思いの塊によって銀時に手を向けようとした


「…」


さ、触りたい


────ドキドキ


…と、その時


嬉しそうに自分の名前を噛み締める様に繰り返していた銀時が、クルッと高杉へと顔を向けた


「っ…!」


上げかけていた右手をピクッと止め、高杉は誤魔化す様に慌ててその手で自分の頭をポリポリ掻いた


「しんすけ!」


「お、おぅ。なんだ?」


「ありがとうっ!
  わたし、しょうようせんせいにおしえてくる!」


この上なくご機嫌な様子の笑顔を銀時に向けられ


「…///」


高杉は赤くなり思った


あぁ やっぱり銀時は
──────天使だ、と


「づらも じゃあね!」


「ヅラじゃない桂だ!」


またもや桂の突っ込みをキレイにスルーしながら、銀時はトテトテと走って教室を出て行った


そんな銀時の背中を見送り


「せんせーせんせー!どこぉ?ぎんもおなまえながくなったよぉ〜!」


嬉しそうに大きな声で松陽を探し回る銀時の様子を耳に、高杉は心の中で大きくため息をついた


あとちょっとで触れたのに…
 くそぉ、頭モフモフしたかったのに…。顔向けられて、目が合ったって撫でりゃ良かったじゃねぇかよ俺!きっと触り心地だって良かったぞ!?絶対!


………あぁ、俺の意気地無し。



──…
─…


(おまけ)


「あっ!せんせい いたぁ!」


「おや、どうしました?銀時」


「あのね、あのね!
 ぎんのおなまえも みんなみたいにながくなったよ!」


「長く?」


「うん!またね、しんすけがつけてくれた!!」


「………苗字の事ですかね?」


「わたしね、さかた ぎんときってなまえだよ!」


「………さかた?」


松陽は、おや?と不思議に思った。晋助が付けるとすれば、銀時の苗字はてっきり‘高杉’になると思っていたのですが…と


「あ!」


「?…どうしたの?せんせい」


松陽は、もしかして?
と、一つの考えに行き着く。勿論その考えは合っている。


「クスクス。
   晋助は可愛いですね」


可笑しそうにしている松陽に、銀時は首を傾げる


「…しんすけ、かわいいの?」


「えぇ。………でも…」


松陽は目を細め銀時を見て、高杉が出来なかった事を簡単にした。その頭に触れ 優しく撫でたのである。


そして松陽は思った


私も銀時は大切ですからね。簡単には銀時の姓は変えさせませんよ?晋助。


銀時を実の娘の様に可愛がっている松陽にとって、大切な教え子と言えど、その娘に近づこうとしている男など…やはり少なからず面白くは無いのである


銀時の気持ちを自分に向かせるだけではなく、‘お父さん’という存在もあって


高杉の前途は多難…
     だったりする?



──…
─…


(あとがき)


だからと言ってね、松陽先生は高杉の邪魔はしません!

確かにちょっぴり面白くはないけど、そこはあたたか〜い気持ちで見守るんです。松陽先生は器のデッカイ男ですから(笑)

さて、この回のタイトルは意味合い的に、2つ当てはまると思います。

高杉って姓を銀ちゃんが名乗るのは今じゃなく将来の楽しみに!ってのと、高杉が銀ちゃんの頭を撫でるのと!

高杉さん、楽しみにとっとけば良いよ!うん(笑)


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ