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□銀色キラキラ
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第3話 (2/2)
その時、高杉はハッとした
ま、待てよ?
今、銀時を高杉って苗字にして…もしこの先、本当に銀時を俺の嫁に迎い入れるって事になった時、元々銀時の苗字が高杉だったら…
結婚した!って言う感動や、実感が物足りねぇな…。
全然違う苗字から俺の苗字を名乗る銀時っつうのも…堪らないものがあるな…うん。
と、高杉の中では将来、銀時と結婚するという事は決定している為、今、銀時の苗字を高杉にと言う自分の提案を却下した
「えっと…」
「えっと?」
首を傾げた銀時に、高杉は
あ、今コイツちょっと勘違いしたな、と気づき、慌てて否定をする
「Σ違うっ!違うからな?‘えっと’じゃねぇぞ!?苗字。そうだな…ん〜…
………さ、坂田」
「さかた?」
「…高杉、お前……今、適当に付けただろ?」
銀時が繰り返している横で、桂は呆れたように言った
「あぁ?別に適当になんて…付ける訳ねぇだろ!?」
図星であった。
将来、どうせ銀時の姓は‘高杉’になるのだから(あくまでも高杉の思い込み)今はどんな苗字だっていいだろうと思ったのだ。
だが、適当に自分の苗字を付けた、と銀時に知られ嫌われたくない高杉は嘘をついたのである。
しかし、高杉のそんな心配も無駄な事で…、銀時はもう、桂の言葉も高杉の言葉も耳には入っていなかった
「さかた…さかた
さかた ぎんとき」
頬を赤らめ、銀時は嬉しそうに自分の名前を繰り返す
その姿を見て、高杉も嬉しそうに微笑む
い、今なら
銀時の頭を撫でても不自然じゃないよな?よしよし、嬉しいか?みたいな流れで!
チャンスだよな?コレ!
と、高杉は純粋な気持ちからでは無く、ヨコシマな思いの塊によって銀時に手を向けようとした
「…」
さ、触りたい
────ドキドキ
…と、その時
嬉しそうに自分の名前を噛み締める様に繰り返していた銀時が、クルッと高杉へと顔を向けた
「っ…!」
上げかけていた右手をピクッと止め、高杉は誤魔化す様に慌ててその手で自分の頭をポリポリ掻いた
「しんすけ!」
「お、おぅ。なんだ?」
「ありがとうっ!
わたし、しょうようせんせいにおしえてくる!」
この上なくご機嫌な様子の笑顔を銀時に向けられ
「…///」
高杉は赤くなり思った
あぁ やっぱり銀時は
──────天使だ、と
「づらも じゃあね!」
「ヅラじゃない桂だ!」
またもや桂の突っ込みをキレイにスルーしながら、銀時はトテトテと走って教室を出て行った
そんな銀時の背中を見送り
「せんせーせんせー!どこぉ?ぎんもおなまえながくなったよぉ〜!」
嬉しそうに大きな声で松陽を探し回る銀時の様子を耳に、高杉は心の中で大きくため息をついた
あとちょっとで触れたのに…
くそぉ、頭モフモフしたかったのに…。顔向けられて、目が合ったって撫でりゃ良かったじゃねぇかよ俺!きっと触り心地だって良かったぞ!?絶対!
………あぁ、俺の意気地無し。
──…
─…
(おまけ)
「あっ!せんせい いたぁ!」
「おや、どうしました?銀時」
「あのね、あのね!
ぎんのおなまえも みんなみたいにながくなったよ!」
「長く?」
「うん!またね、しんすけがつけてくれた!!」
「………苗字の事ですかね?」
「わたしね、さかた ぎんときってなまえだよ!」
「………さかた?」
松陽は、おや?と不思議に思った。晋助が付けるとすれば、銀時の苗字はてっきり‘高杉’になると思っていたのですが…と
「あ!」
「?…どうしたの?せんせい」
松陽は、もしかして?
と、一つの考えに行き着く。勿論その考えは合っている。
「クスクス。
晋助は可愛いですね」
可笑しそうにしている松陽に、銀時は首を傾げる
「…しんすけ、かわいいの?」
「えぇ。………でも…」
松陽は目を細め銀時を見て、高杉が出来なかった事を簡単にした。その頭に触れ 優しく撫でたのである。
そして松陽は思った
私も銀時は大切ですからね。簡単には銀時の姓は変えさせませんよ?晋助。
銀時を実の娘の様に可愛がっている松陽にとって、大切な教え子と言えど、その娘に近づこうとしている男など…やはり少なからず面白くは無いのである
銀時の気持ちを自分に向かせるだけではなく、‘お父さん’という存在もあって
高杉の前途は多難…
だったりする?
──…
─…
(あとがき)
だからと言ってね、松陽先生は高杉の邪魔はしません!
確かにちょっぴり面白くはないけど、そこはあたたか〜い気持ちで見守るんです。松陽先生は器のデッカイ男ですから(笑)
さて、この回のタイトルは意味合い的に、2つ当てはまると思います。
高杉って姓を銀ちゃんが名乗るのは今じゃなく将来の楽しみに!ってのと、高杉が銀ちゃんの頭を撫でるのと!
高杉さん、楽しみにとっとけば良いよ!うん(笑)
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