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□銀色キラキラ
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第4話 (1/2ページ)




寺子屋での勉強が無い日でも、高杉は毎日のように松陽の所へ出向いていた。


それは勿論、大好きな師である松陽の事を慕って会いに来ている………訳ではない。


確かに、松陽を大好きである事には変わりは無い。しかし、高杉が松陽の家に熱心に出向くのは彼が面倒を見ている少女、銀時に会いたい一心なのだ。


『先生っ、おはようございます』


庭先で洗濯を干している松陽を見かけ、高杉は声を掛ける


「おや、晋助。
  おはよう。今日も銀時に会いに来たのですか?」


シーツを洗濯バサミで挟むと、松陽は にこやかな笑顔を高杉に向けた


『っ///…え、い…いや、べ、別に俺は銀時に会いに来てる訳じゃありませんっ!

松陽先生の何か…お手伝いとか、そんなんがあればと思って来てるんです!!』


照れ隠しからか、バレバレだと言うのに高杉は頬をほんのりと赤くしながら誤魔化す


「クスッ。そうですか。
 あぁ、でも…せっかく来たのですから、銀時に挨拶だけでもしていったらどうですか?」


優しい松陽は高杉の調子に合わせてやり、更には高杉が銀時に会いに行きやすいように話を持っていってやった


『そ、そうですね!
 別に銀時に会いに来た訳じゃないけど、挨拶ぐらい、していこうかな。会いたい訳じゃないけど、挨拶もしないのは、人としてどうかとも思いますし、はい!』


「………」


松陽はこのツンデレっぷりに吹き出してしまいそうになるが、そんな事をしては高杉が拗ねてしまうだろう、とグッと耐えた。それはもう必死の思いで


そんな松陽、実はこの時、グッジョブ自分!よく耐えた!!と、自分を誉めていた事を知る者は(当然)誰もいない。


「銀時なら、教室にいると思いますよ」


『…教室?』


「えぇ。さっき私が教室の前の廊下を通った時、一生懸命、習字の練習をしていましたから」


今まで勉強と言うものを学んで来なかった銀時は、同い年の子供たちと比べると、どうしても学力が劣ってしまっていた


自分の面倒を見てくれている松陽に恥ずかしい思いをさせない為にも!と、銀時は一生懸命に勉強に励んでいたのだった


『分かりました。行ってみます』


こうして高杉は松陽にクルッと背中を向け、家の中へと進んで行った


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