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□銀色キラキラ
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第4話 (2/2ページ)




廊下を進み教室に近づいた時、見てみれば障子は開いていた


そこから中を覗けば確かに机に向かって銀時が座っている姿が視界に入る


だが、その頭は前後にコクりコクりと揺れていて


『寝てんのか?』


ポツリと呟きながら近づいて、その顔を覗く様に見ようとしたが、その直前、高杉は銀時の周りに散らかる紙に目がいく


『…ん?』


そこには…決して上手な字とは言えないし、全てひらがなだけではあるが、しかし一生懸命に書いたと思われる文字


何枚も、何枚も


‘さかたぎんとき’

‘よしだしょうよう’

‘たかすぎしんすけ’

‘かつらこたろう’


そう書かれた紙の数々に、高杉は頬を赤らめ胸が温かくなるのを感じる


銀時本人や、大好きな松陽の名前を練習で書くのは分かる。当たり前の事だ。だが、その中に自分の名前があった事に、高杉は嬉しくて嬉しくて盛大に顔をニヤけさせた


見れば、銀時が字の練習にと書いている名前は4人のものだけ


あんなに沢山いる他の生徒たちのものは無い。と、言う事は、少なくとも自分は銀時にとって、ただ単に同じ寺子屋に通っている生徒の中のひとり、という訳では無いと言う事で…。


字を練習して、それをちゃんと覚えたいと思ってくれているんだ!ちゃんと、友達として自分をインプットしてくれているんだ!!


…今はいい、まだ友達で。
こうなりゃ、親友になってやる。大親友に!!そこから始めよう!うん!!


と、新たな決意をし、ドキドキしながらも銀時が書いた自分の名前‘たかすぎしんすけ’の紙を大切に拾い上げ、丁寧に折り畳み、静かに懐へとしまう。




【高杉は宝物を手に入れた】




『にしても…ヅラの名前まで書かなくていいのに』


面白くなさそうに言い、高杉は人差し指で桂の名前が書かれた紙をピンッと跳ねた


『…』


しかし、面白く無いとは言えそれは愛しい銀時が一生懸命に書いたもの。無下に出来る訳もなく、高杉は散らばる‘かつらこたろう’の紙を集め、ひと所にまとめて置いた


そして、今度こそ銀時の顔を覗く様に見て高杉は衝撃を受ける


『っ…』


目を瞑り眠っている銀時のその姿は、まさしく天使


『………か、可愛い///』


高杉の口からは、思わず自然にそんな言葉が出ていた


そして吸い寄せされる様に銀時へと近づき…


───ぷにゅっ


『っ…///』


人差し指で銀時の頬っぺをツンと押してみる。その柔らかさに高杉は感動すら覚えた


『おぉ〜!柔らけぇ…』


───ぷにゅぷにゅっ


その感触がクセになったのか、高杉が幸せを感じながらそんな事を繰り返していると


「………」


違和感を覚えたのか…


───ガシッ


『っ…』


突然、銀時の右手が高杉の人差し指を掴んだ。銀時を起こしてしまったのかと高杉の心臓はビクッと跳ねた。……が、銀時は目覚めた訳では無かった


「ぅ〜…むにゃむにゃ…」


『ふぅ〜…ビビった。起きた訳じゃねぇのか』


安心した高杉は、銀時の寝顔を改めて見つめる


『………マジで、なんでこんなに可愛いんだよコイツ』


スースーと寝息を立てる銀時。きゅっと温かな手に握られたままの高杉の指。


高杉はそれはそれは嬉しそうに微笑んだ。あぁ、幸せだ、と


心地よい時間が流れ、いつの間にか高杉はウトウトと眠気に誘われていった















「銀時〜、晋助〜…おやつにプリンでも食べませんか?」


廊下から呼び掛けながら教室に入った松陽は、二人の姿を視界に入れた途端に


「おや……。クスッ」


優しく目を細め微笑んだ。


「二人とも、なんて可愛いんでしょう。まるで天使みたいですね」


銀時と高杉は、いつの間にやら畳の上に横になり、寄り添い並んで眠っていた。


それはそれは気持ち良さそうに


銀時が、高杉の指を掴む手はシッカリとそのままで。











「…あっ!でもやっぱり可愛さでいったらどうしても銀時の方が上になっちゃいますね」


真剣な表情で言う松陽。彼も所詮、立派な親バカであった



──…
─…



(あとがき)


オチに悩みました(^_^;)
が…今回は、ほんわかした感じで締めてみました。


あ、あと今回、タイトルも思い浮かばなかったんで(タイトルで悩むのは毎回と言っていい程だけど)この話の後の松陽先生の事をタイトルにしました。


気持ち良さそうにお昼寝をしてる子供達を起こすのは可哀想と思った先生は、一人で先におやつのプリンを食べましたって事ですね。


待ってても良かったんだけど、この時の松陽先生はちょっと小腹が空いてたんで…(って設定でお願いします(笑))


あっ!だからって別に銀ちゃん達の分まで食べちゃったって訳じゃないですよ!?←え、そんな事分かってる?(^_^;)


二人のプリンはちゃんと冷蔵庫で冷えてます。で、起きた二人は一緒に食べる訳ですよ。


高杉、この日は幸せ三昧ですね。宝物は手に入れるし(もちろん銀ちゃんが名前を書いた紙)寝顔は見れるし、プニプニと突っつけたし、手を繋いで(?)一緒にお昼寝出来たし、しかも起きたら二人っきりでおやつタイムですよ!(笑)


良かったねぇ。高杉さん。
(*´艸`)さぁ私に感謝なさい←


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