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□三食(プラスおやつ)昼寝付き
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最終話
2人きりになり、暫くの間は無言が続いたが、土方は、銀時のすっかり妊婦だと分かる程までに膨らんだお腹に目をやり、
「………まぁ、立ちっぱなしってのもなんだから、座るか」
と、気遣いを見せた。
銀時は、無言のままではあるが、土方の言葉に素直に従い、座布団の上に腰を下ろした。
「いくつか、確認したい」
土方のその言葉に、銀時はチラリと土方を見、目が合うと、それをパッと反らしてしまった。
土方は、そんな銀時を見たまま構わず続けた。
「まず、好きな奴が出来たからお前が俺との仲を終わらせたいって言ったのは、嘘なのか?」
「っ…ぁ、いや…それは…」
動揺からか、銀時はうまく誤魔化す事が出来ずに、ただうろたえ、しどろもどろになる。
「嘘、なんだな」
そんな銀時の態度から、
土方は 新八の言う通りで、やはりそうなのかと解釈する。
「じゃあ次。お前のその、腹にいる赤ん坊は、俺の子か?」
「っ…」
ピクリと肩を揺らし、息を飲んで固まってしまった銀時に、土方はそれを肯定ととる。
「…俺の子なんだな」
いつもの自分なら、もっと上手いこと何とでも言えただろう。だが、心の準備もまともに出来ていない状態で土方と面と向かっている今、頭がうまく回らず、どうする事も出来ない。
確かめる様に静かに言った土方に、銀時はもう誤魔化せない、と手のひらをギュッと握った。
一方土方は、自分自身に対してなのか、銀時に対してなのか…、苛立った様に眉を寄せた。
「なんでだ!?なんで言わなかった?なんで何も言わないまま一人で生もうとした!?」
「…………だっ、て…土方には…関係ないもん」
銀時の返事に、
土方はますます眉を寄せる。
「あぁ?関係ねぇ訳ねぇだろ!どうすりゃガキ出来んのか、なんて、今時ヘタすりゃチャイナぐらいの年齢でも知ってるぞ。俺にも責任あるだろうが。俺をどんな薄情な男だと思ってんだ。それぐらい取らせろ」
銀時は、土方の言葉にピクリと肩を揺らし、そして悲しげに眉を八の字に下げた。
「………責任、取るって?」
「あ?」
「責任取るってなに?」
銀時は顔を深く俯かせている為、その表情は土方に見えない。
「……なにって…」
「中絶費用なら出すとか、そんなのか?お前の言う責任って」
「っ…は?」
思っても無かった言葉が銀時の口から出て、土方は目を丸め驚いた。
「ちょっと待て、お前なに言ってんだ?」
「だってそうだろ!?」
銀時は勢いよく顔を上げ、再会してすぐ、暫く見つめ合って以来、そこで初めてまともに土方と目を合わせた。
そこで土方はハッとする。
今にも泣き出しそうな、悲しげな銀時の顔を見て。
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