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□三食(プラスおやつ)昼寝付き
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第3話





「じゃあお茶入れて来ますね」


「あ…お構い無く」


案内し終えた山崎が言うと、その山崎に対しては友好的な表情を向けていたメガネは、部屋に俺と2人だけになると、表情を険しくし、眉間に深いシワを寄せた。


…何だってんだ?


「…で?わざわざお前が俺にこんな所まで会いに来るなんざ、どんな用件だ?」


聞けば、メガネは表情を更に固くし、その顔が前髪で隠れる程に俯いた。


「……僕、知ってるんです」


そしてそんな事を言った。


「は?知ってるって…」


要領を得ず、ハテナマークを浮かべて‘何をだ’と聞き返そうとしたら、そんな俺の言葉を遮り、メガネは言った。


「銀さんと、土方さんの関係」


…と。


「っ…」


ビックリして目を見開いていると、メガネは俯かせていた顔を上げ、俺へと視線を向ける。


驚いた。
ま、まさかガキに俺たちの仲を知られていたなんて…。


教育上よくねぇ…。
大変、よろしくねぇよ。


タラリと汗が垂れた時、メガネは真剣な表情で口を動かした。


「…恋人同士だったんですよね?銀さんと土方さんは」


「………は?」


ついポカンとしてしまった俺に、メガネは眉を寄せる。


「いいんです。隠そうとしないで下さい。僕、ちゃんと分かってるんですから」


いやいやいや、理解して(わかって)ねぇよ。お前、おもっくそ勘違いしてんぞ。


しっかし…、
男と女がいわゆる‘親しく’してりゃあ、それは恋人であって、体だけの関係、なんて事はメガネの頭には無い訳か…。


しかし…俺と万事屋が、
恋人同士、か。


メガネの勘違いに胸踊らせている自分がいる事に気付き、そうとう重症だな、と苦笑した。


すると、メガネは再び正座している自分の足へと視線を落とし、ゆっくりと喋りはじめた。


「…こう言うのは、そりゃあ当人同士の問題だって事は分かってます。それに、銀さんが必死の思いで決断したんなら、僕は黙ってそれを応援しようって決めてました。でも…やっぱり今回の事は、銀さんが正しいとはどうしても思えないんです」


「あ?」


なんの話だ?


「おい、なに言ってんだ?」


「…今の銀さんを見てると、なんだかイライラします」


苦しげに表情を歪めるメガネに、俺の疑問の言葉は引っ込む。


なんだ?いったい、今の万事屋に何が起こってるんだ?


その時、


「お茶、お待たせしました」


笑顔で盆に乗せた湯飲みを持って戻って来た山崎は、この部屋の何とも微妙な空気を読み取ったのか、少しだけ戸惑った素振りを見せてから、小声で‘失礼します’とだけ声を掛け、俺の部屋を後にした。


再び2人だけになり暫くすると、メガネはまた口を動かした。


「…僕、銀さんの告白を受けて、土方さんには今回の事を知る権利が、いえ!!
義務があると思ったんです」


「っ…」


え、今、な、なんてった?
こ、告白?銀さんの告白!?


って事は、な、なにか?


万事屋の言ってた…、


「好きな奴が出来たってお前の事かアァァ!!?」


瞳孔カッ開きで叫ぶ様に言えば、メガネはビックリした様に目を丸めた。


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