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□三食(プラスおやつ)昼寝付き
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第5話
[side 新八]
ある日、銀さんは ハタキを片手に掃除をしていた僕、酢昆布を片手に定春と遊んでいた神楽ちゃんに呼び掛けた。
「新八ぃ、神楽ぁ、今ちょっといいか?話あんだけど」
銀さんが座った向かい側のソファーに、僕と神楽ちゃんが並んで座ると、銀さんはそれを確認し、おもむろに話し始めた。
「勿体ぶって言う事じゃねぇし、どんなタイミングで言ってもきっと驚くだろうから、
結論から言わせてもらうな」
「「?」」
僕も神楽ちゃんも首を傾げる。
「いったい何ですか?」
聞けば銀さんは、僕、神楽ちゃんの顔を交互に見た後、瞼を閉じ、また開くまでの間に言った。
「俺、妊娠しました」
…と。
「「…えっ!!?」」
僕と神楽ちゃんの重なった驚きの声に、銀さんはフワリと綺麗に微笑んだ。
「今4ヶ月を過ぎた辺りだって医者は言ってたよ」
「……銀ちゃんのお腹に赤ちゃんいるアルか?」
神楽ちゃんは前のめりになり、銀さんのお腹をガン見する。
「あぁ」
銀さんは お腹に手を添え、嬉しそうに頷く。
あぁ、ビックリした。
銀さん、いつもと変わらない顔つきだったから、まさかこんな話だとは思いもしなかったよ。
て言うか、じゃあ銀さん、
「結婚したら…万事屋(ここ)はどうするんですか?」
その質問に、銀さんと神楽ちゃんは僕を見た。
赤ちゃんの父親って、銀さんの旦那さんになる人って、土方さんだよね?
銀さんは内緒にしてたみたいだけど、実は僕は知ってる。
突然、土方さんから万事屋(うち)にやたらと電話が掛かって来る様になったと思ってたら、
偶然、見かけた事があった。
銀さんと土方さんが、何と言うか…2人揃っていい雰囲気で寄り添っていた場面を。
その時の2人は、
恋人同士そのものの、甘い空気をまとっていて、仲が悪いと思っていたから僕はソレを見て驚いたのを覚えている。
でも、よくよく見れば、銀さんと土方さんって凄くお似合いだな、って納得したんだ。
結婚したら銀さんは、屯所に住むのかな?それとも土方さんがここに?いや、それは無いのかな?新しく家を借りるなりなんなりするのかな?
「新居から通うとかですか?あ、そしたら神楽ちゃんが一人になっちゃいますもんね…。まさか、結婚を機に畳んだりしないですよね?万事屋」
考えながら口にすると、神楽ちゃんは眉を八の字に寄せた。
「銀ちゃん、うち出てっちゃうアルか?そんなのヤーヨ!
あ!赤ちゃんのパピーもここで一緒に住めばいいアルよ!」
「神楽ちゃん、そんなワガママ言っちゃダメだよ。
こう言うのは夫婦で話し合う事なんだし、神楽ちゃんがそんな事言っちゃ、銀さんも心置きなく嫁げないでしょ?」
あ、そうだ!神楽ちゃんは、僕の家に来ればいいよ!部屋はあるんだし。姉上だって神楽ちゃんなら大歓迎だよ。
なんて思っていると、銀さんが口を開いた。
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