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□三食(プラスおやつ)昼寝付き
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第7話





[side 銀時]


土方に別れを告げたその日、万事屋に帰った俺は、誰に言うでもなく、ぼんやりと呟いた。


「…………かぶき町(ここ)じゃなくてどっか、静かな場所で赤ちゃん生みたいなぁ」


…と。


かぶき町というこの場所に居続けて、このままお腹が大きくなっていき、俺が妊娠している事が周囲に知られれば、もしかしたら、それがどこかから土方の耳にも届くかも知れない。


直前まで体の関係があったのだ。もしかしたら土方に、自分の子の可能性もあるのでは…、と感づかれるかも知れない。


それは避けたい。だから、誰も俺の事を知らない様な、どこか田舎で安心して出産したい。


そんな事を思っていると、新八が少し考える様子を見せてから提案したのだ。


物心つく前に亡くなっている母親の実家がある田舎に行かないか、と。今は空き家になっているが、住もうと思えば住めない事もないと思う、と。


「……いいのか?」


聞けば新八は笑った。


「銀さんこそ良いんですか?
母さんの実家の周り、本当に何もないですよ?あるものと言えば自然のみ、な‘THE 田舎’ですよ?まぁ、癒しって事を考えれば妊婦(銀)さんには良い環境かも知れませんけど」


それから新八は、テキパキと空き家の持ち主の親戚に連絡して、暫く住まわせてもらえないか、と交渉してくれた。


ただ、
「実は僕、誰に連絡すればいいのかって詳しくは知らないんですよね。姉上なら知ってると思うんで、いったん姉上に電話しますね」


と、お妙経由で。


「銀さん!良いそうですよ!
ただの空き家であるより、住んでくれた方が家も傷まないし、荒れ放題にならないから反って助かるそうです」


新八が提案してから2時間もしないうちに決まり、


「掃除して住める状態にはそっち(僕ら)でやってくれって事ですけど、電気や水道なんかは通しといてくれるそうです」


3日もしないうちにそこは‘元空き家’になり、人が住める様になった。


そんなこんなで、
新八の母ちゃんの実家に来てから、約2ヶ月が過ぎていた。


洗濯物を取り込みながら、ふと青い空やそこを流れる雲を見て、とても穏やかな気持ちになる。


ここは、緑が多くて、近くに川もあって、本当に良い所だな。


それに、ここは俺が育った田舎に少し似てる。松陽先生と共に過ごしたあの場所に…。
だから、なんだか懐かしくて余計に落ち着くのかも知れない。


…………これで、土方の事を思い出さず、きれいサッパリ忘れられたら最高なのに…。


土方との関係を終わりにしてからのこの2ヶ月、土方の事を考えなかった日は、1日もなかった。


ひとりで生むって覚悟決めて、なんなら土方には このまま一生会わない、ぐらいのつもりでいるってのに……。
毎日毎日、土方を想う気持ちは膨らんで、大きくなってる。


こんなにも…、
俺は、土方の事が、好きだ。


‘銀ちゃんは元々強いアル。そこに母親がプラスされるネ。銀ちゃん最強ネ!無敵ある。’


神楽の言葉が過り、苦笑する。


「強くなんかねぇよ、俺は…」


だって、土方の事を想うと、心が折れてしまいそうなんだ。


覚悟を決めたはずなのに、
本当の事を全て告げてしまいたくなる。好きだと言って、土方に手を、伸ばしたくなる。


「…ごめんな。
   弱い母ちゃんで」


お腹を撫でながら呟いた時、


「銀ちゃ〜ん!」


呼ばれた声がして、
顔を自分のお腹から上げれば、道の先に神楽の姿があった。


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