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□三食(プラスおやつ)昼寝付き
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「お前にとって俺なんて遊びで、そんな相手が妊娠なんてっ…、そんなの…、
この子はっ!…お前には迷惑にしか過ぎないだろ!?」


「お、おい、待て…」


「嫌だ!俺には‘おろす’なんて選択肢は元々なかった」


「おい待て。落ち着けって」


妊婦である銀時を興奮させては、お腹の子にもあまりよくないと思い、土方は銀時を止めようとしたが…、


「生みたかった。
お前との子だから尚更っ」


「っ…………え?」


銀時の口から出た言葉に、土方はピクリと体を揺らし反応し、目を見開き銀時を凝視した。


「おい…万事屋……今の…」


しかし、銀時は自分が何を口走ったのか気づいておらず、瞼を閉じ、再び口を開く。


「お前には迷惑なんてかけねぇよ。絶対に。生ませてくれれば、ただそれだけで良い。
だからこの事は忘れてくれ。もういいだろ?帰れよ」


セフレ相手が妊娠した、なんて事になれば、中絶を選択するカップルはいくらでもいる。


中絶と言う選択肢が銀時の中には無かったと今々言われた瞬間、おろすのが嫌だったから銀時は自分には何も言わなかった。

ただ単にそれが理由だと思った。


だが…、


自分との子だから尚更生みたかった、という銀時の言葉の意味を考え、土方は自分に都合の良い答に行き着く。


まさか、と思いながらも、しかしその言葉からは、もしかしたら、銀時も自分の事を想ってくれているのでは、と考えざる他なかった。


俺は…期待して、良いのか?
と、土方の心臓は一気にドキドキと跳ね上がった。


「俺ァ、おろせ、なんざ一言も言ってねぇだろ。

……生んでくれよ、赤ん坊」


「っ…」


自分の想像とは違うその反応に、銀時は目を開いた。


「責任は取るって言ったろ。

両親が揃ってねぇと、子供も可哀想だしな、だから…その…」


「……え?」


土方の今の言葉の意味を、銀時は考えた。


子供を生んでくれ。
両親が揃ってねぇと…。
だから……。


だから?
今この男は何を言いかけているのか。まさか、この男は、夫婦に、なろうとでも言うのか?


そこまで考えて銀時はハッとする。


そうだ。この男は、何だかんだ言って、優しい男なのだ。


いくら自分とは遊びだったとしても、子供が出来てしまったのだ。新しい命が宿ったのだ。


土方は、その事に責任を感じ、義務で自分と一緒になると、そう言いたいのだろう。


そこで銀時は再び眉を八の字に下げた。


そんな理由で一緒になったって、虚しいだけだ、と。


そんな理由で一緒になっては、この先、土方には良い縁談がいくらでもあるかも知れないのに、そんな真選組副長(かれ)の人生を、自分がダメにしてしまう、と。


「その……なんだ…、万事屋、お、俺と…」


「…………いらねぇよ」


「………あ?」


土方は生まれて初めてのプロポーズを、しようと思っていた相手に邪魔され、眉を寄せた。


「…まさかお前、子供が出来たから、その子供の為に結婚しよう、なんて言うつもりじゃねぇだろうな?
そんな言葉なら、いらねぇよ」


「えっ…」


「……冗談じゃねぇよ。
そんな‘責任感じて’とか‘義務’でとか…、そんなんで結婚なんて…俺はゴメンだ」


瞳を潤ませ、苦しげに言う銀時に、土方はハッとした。


「っ…違うっ!!」


そして慌てて言った。


「………なにが?」


銀時は不思議そうに聞き返す。


「…ダシに使おうとした。赤ん坊の事。絶好のチャンスだって…。すまねぇ。言い方が悪かった」


もしも、銀時にその気がなくても、赤ん坊がいれば、銀時を取り戻せると思った。

責任を取る、という形だろうと、銀時を手に入れられるのであれば、姑息かも知れないが、それでいいと思っていた。江戸からここへ来るまでの電車の中で、そんな事を考えていた。

銀時を手に入れたその後ででも、ゆっくり口説いていけばいいと、そう思っていた。

今も、何だか妙に照れくさくて子供をダシに結婚を申し込もうと、男らしくない態度を取るところだった。

だが、辛そうな顔をした銀時を見て、土方はそんな自分の態度を後悔し、ちゃんと想いを伝えなければいけないと判断した。


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