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□三食(プラスおやつ)昼寝付き
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全身からフニャリと脱力する程ショックを受け項垂れていると、メガネはそんな俺を見かねたのか、声を掛けた。
「あの……、別に銀さんは土方さんの事、嫌いになった訳じゃないと思いますよ?」
「はっ、慰めてるつもりか?」
「いや、そう言うんじゃなくて、本当に。むしろ、逆なんじゃないかな?今でもまだ、銀さんは土方さんの事を…」
好きってか? そんな感情、最初(はな)っから俺らの間には無かったと言うのに?
「だから、今でも好きなくせに土方さんと別れたりするから、最近の銀さんを見てるとどうして…ってイライラするんです」
今でも好きなくせに?
はっ、バカらしい。
「メガネ、俺たちの事なんざ、なんにも知らねぇくせに知った様な口きくんじゃねぇよ」
ムカつき、苛立った声色で言った後に睨み付けたが、メガネはそんな俺に怯む事なく、そのまま強い眼差しで俺を見返した。
「確かに僕は知らない。あなた達がどんな付き合いをしてきたのか何て…。でも銀さんの気持ちは分かります!!」
「…自惚れてんじゃねぇよ」
言い切れる自信があるコイツが、羨ましくも憎らしい。
俺と万事屋の間には、
強く言い切れる様な事なんて、信頼だろうと何だろうと、何一つ存在(あり)はしない。
「そんなんじゃありません。だって、そうじゃないと…つじつまが合わないんです」
「つじつま?」
意味が分からず眉を寄せ聞く。
すると、メガネはギュッと手のひらを握り、拳を作った。
「だって、銀さんが土方さんを嫌いなんて…そんな事ある訳ないじゃないですか。
銀さんは…、銀さんはっ、
そんな人の赤ちゃんを、黙ったまま生まないと思います」
「っ…………………は?」
「嫌いになって別れたってんなら、銀さんは、その相手に内緒になんてしないで、養育費ぐらい、ガッポリ要求する人です」
「ちょっ…ちょっと待て、お前なに言って…」
「それを、何も告げずに一人で育てる覚悟をしてるんです。嫌いになったんじゃなくて、他に理由があるとしか…」
「待てって!!
…………どういう事だよ?」
「…………ぁ、すみません。先走ってしまって。
順序だてて、話すべきでした。
………銀さんは、
銀さんは今、妊娠しています」
「っ………」
え、え?
「お腹の子の父親は、土方さんだと思います。銀さん、もうずっと土方さんとしか、付き合ってなかったみたいだし」
なんだ?
何が、どうなってる?
第4話へ つづく