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□おめでとっ
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第2話
「お、おいおい…。マジで入っちまいやがった、あのバカ。……………くそっ!」
あんな常態の銀時を、こんな場所に一人で残しておける訳もなく、俺も銀時の後を追い、ラブホの中へと足を進めた。
エントランスホールを抜け、中に入ると、どの部屋にするのかを決めるタッチパネルの前に銀時は居た。
その空間には他に、一組のカップルがおり、俺が銀時に近づくと、そのカップルはチラチラと俺たちを盗み見た。
「お、おい万事屋、なにしてんだお前は」
男同士でこんな所に現れりゃ、そりゃ見られもする。いや!俺はいい。どんな目で見られ様が構わねぇ。
だが、銀時が好奇の目で見られたり陰口たたかれたりするのは絶対に嫌だ。
「おい、お前 相当酔ってんだろ?
間違えてるぞ。ここは居酒屋じゃねぇ。ほら、さっさと帰るぞ?」
なんて誤魔化していると…、
「なぁ、あれって…男同士か?」
「えっ?違うんじゃない?」
「でもよぉ、両方とも身長高ぇしガタイも良いっつうか…」
「華奢で細身な男の子もいるぐらいだもん。そういう女の子もいるわよぉ。私も一瞬 男同士(そうかと)思ったけど、違うわよぉ。背、高いけど…、あっちの銀髪の子、女の子でしょ?中性的なだけよぉ。だいちっ、男同士でこんな所、来るぅ?」
カップルのコソコソした話し声が聞こえてきた。
「ほ、ほら!出るぞ!」
これ以上ここにいて男同士だと完全にバレたら、銀時が何を言われるか、と不安になり、俺は銀時の肩を掴み帰る事を促した。
すると…。
「えぇ〜やだぁ!ここ入るぅ!」
駄々っ子の様に言い、銀時は右手を伸ばし一番手近なパネルに触れた。
「銀さんはねぇ、今日はぁ、お金持ってるからぁ、奢ってあげるぅ!!」
何が楽しいのかクスクス笑いながら言うと操作を進め、入金まで済ませてしまった。
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