♂ ♀


□おめでとっ
5ページ/13ページ



機械が入金を確認すると、受け取り口からカードキーがスッと飛び出した。


それを受けとると、銀時は俺へとクルリと振り向く。



───そして



「ねっ、土方くぅん、一緒に行こっ?」


「っ……///」


まるで本当に女の子が微笑んだのかと錯覚してしまうぐらいに、花が咲く様に可愛く、愛らしく、しかし何とも妖艶な微笑みをその顔に浮かべた銀時に、俺はボッと湯気でも出るのかと言う程の赤面をした。


「…ほらぁ!やっぱ女の子じゃん。
あんな風に男を誘うなんて女の子でしょ?もしあれであの子が男だったら、私、女としての自信 無くしちゃ〜う」


少し離れた所から銀時の笑顔を目撃していたらしいカップルの女はコソコソと言った。


そしてそれに続き、


「いや…、もう女とか男とかどっちでも良くない?例えあの子が男でも良いわ。お相手願いたい。超色っぺぇ〜」


彼女の前にも関わらず、つい本音が…。
という具合にカップルの男は銀時に見惚れていた。


瞬間、男の言葉にムカッと腹の底から不快感が沸き上がる。


「ちょっと!どう言う事よ、それ!!信じらんないっサイテー!!」


「ぁ、いや…その…、ほら!だって、めっちゃ美人だし、あの子」


「はぁあ!?どう言う意味よそれ!あんた、私の事を世界一キレーだとか言って口説いてたクセしてぇ!」


「はっ、なに言ってんの?
本気な訳ないじゃん。まさか真に受けてた訳?あんなのただヤりたい為だけの口からデマカセに決まってんじゃん!!」


「っ…なんですってぇ!!」


自分の所為でカップルが喧嘩を始めたなどこれっぽっちも気づいてもいない銀時は、エレベーターへと足を運ぶ。


「あっ!お、おい待てよ万事屋!」


銀時を追い、閉まる寸前に俺もエレベーターの中に体を滑り込ませた。


「さっきの2人さぁ、いったいどうしたんだろうなぁ?」


狭い空間で2人きりになり、7階のボタンを押した銀時は、そんな事を言った。


「……ぁ、あぁ。どうしたんだろうな」


いや、お前の所為だろ。とは突っ込まないでおく。銀時に、自分の魅力を気づかせたくない。そんなもん、俺だけが知ってりゃ良い事だ。


………って、まぁ、
恋人な訳でもない俺にそんな事、思う資格も無いのかも知れねぇけど。




第3話へ

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ