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□おめでとっ
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部屋の中に入り、奥に進むと、部屋の中央に堂々と存在するベッドの前に立ち、そのベッドをジッと見つめる銀時の後ろ姿。
「……ねぇ、土方くん」
俺が近づいた事に気づいた銀時は、ベッドを見たまま口を開いた。
「もしかして、ここって…」
流石に部屋の様子に、居酒屋でなければバーでも無い事に気づいたらしく…。
「えっとぉ〜…、ナニを致す所?」
銀時はクルリと俺に振り向いて、眉を下げ苦笑しながら問いかけた。
「っ……あ、あぁ」
やべぇ……。
今の、めちゃくちゃ可愛かった。
早く……、早く ここを出なければ。
「…………ふ〜ん、そっか」
銀時は何やら考える素振りをした後、とんでもない事を口にした。
「ん〜…じゃあ、さ、お金も もう払っちゃってる事だし、一発ヤッてく?」
「っ………なっ!!?」
瞳孔を全開にし驚いた顔をしている俺に向かって、銀時はニコニコ笑いながら続ける。
「だってぇ、お金出したの銀さんだしぃ、勿体ないじゃん?ね、土方くん」
酔ってるから…、自分がなに言ってんのか分かってねぇのか?
に、しても、だ!!
無防備すぎるにも程があんだろ!?
俺の気も知らねぇで…、
いやっ、知らねぇからって、こんな冗談、言っていいもんじゃねぇだろ!?
「ね、ね?」
銀時はベッドにポフッと座り、足を組んで俺を見上げた。
「俺の事、食べて?」
「っ…」
そして、言った内容に似つかわしくない何とも無邪気な笑顔でクスクスと笑った。
「なんつってな」
ドクドク バクバクと、今まで生きてきた中で一番速く心臓が脈打つ。
……ダメだ。
やめろ……俺。
相手は、自分で自分が何を言ってんのかも理解してねぇ様なただの酔っ払いだ…。
なに言ってんだ、って、
呆れた顔向けて、軽く流してさっさとココを出りゃ それでいい話だ。
「でもぉ、銀さんの事、食べたかったら本当に食べちゃっても良いよ?」
………いや(流すなんて)無理だろ。
───ぽふんっ
「わっ…」
銀時の肩を押し、そのままその体を押し倒した。
「…土、方くん?」
銀時は、キョトンとした顔と声で、その体に跨がった俺を見上げる。
「酔っ払いだからって、
何を言っても許されると思うなよ」
「ふぇ?」
「世の中にはなぁ、言っていい冗談と、そうじゃねぇ冗談ってのがあんだよ。
万事屋、お前が悪い。お前が……、俺を煽るから悪いんだ。責任、取りやがれ」
そうだ。
俺は悪くねぇ…。
悪いのは、俺がどんなにコイツを好きかも知らねぇで俺を誘惑する銀時(コイツ)だ。
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