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□欲望に溺れなさい
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〜エピローグ〜




両手、両足の鎖も外され、抱き合うように行為に溺れていった2人は結局、意識を手放すようにして眠りについていった。


しかし、どれぐらい過ぎた時だったか、異三郎は目を覚まし、横で眠る銀時を見ると微笑んだ。


フワフワな銀髪を撫で、眠る前までの時を思い起こす。


行為中、どんなに好きだと自分の想いを告げても、銀時は応えてはくれなかった。‘もっと’や‘いい’などの言葉はくれるのに…、その場だけの盛り上がりでの嘘ですら、言ってはくれなかった。


欲望に溺れさせる事は出来ても、好きという感情は芽吹かせる事は出来なかった。


それは、これからどんなに時間を掛けてもなし得る事は出来ないのだろう、と、異三郎の胸はズキズキと酷く痛んだ。


しかし、それは無理矢理に銀時の体を奪った事への与えられて当然な罰なのだ、と、受け入れる覚悟はしていた。


だって、もう銀時を手離して生きていくなど、彼の味を知ってしまった今では、出来そうもないのだから。


「己のしでかした過ちに後悔するつもりなど…ありませんよ。
‘坂田銀時を手に入れる’だってこれは、自分で望んだ事なのですから……」


寂しそうに呟きギュッと手を握ると、その手を脱ぎ散らかした服へと伸ばした。


ちょうど着終わった時、部屋にノック音が響いた。


────コンコンッ


「失礼します局長。局長に呼ばれて来たと言って真選組の副長が訪ねて来ているんですが…通しても宜しいんでしょうか?」


続けて見廻組の隊士らしき者のそんな声。


「来ましたか」


呟いた後、


「間違いありません。私がお呼び立てしました。この部屋に通して下さい」


異三郎は扉の先、廊下に向かってそう言った。


銀時がこの部屋に来て最初に目覚めた時、異三郎がメールを打っていた相手、実はそれが真選組副長、土方で、どうしても伝えなければいけない大事な話があるから来て欲しい、と送っていたのだ。


「分かりました」


言うと、隊士はいったんその場所を離れて行った。


すると、異三郎は すぅすぅと寝息を立て眠っている銀時へと視線を移した。


「貴方の周りをうろつく害虫は駆除しないといけません、ね?銀たん」



















───────
────────


土方は隊士に案内され、真選組とは雰囲気の違った見廻り組屯所内を歩いていた。


「あちらの部屋です。では私はこれで」


部屋の数メートル手前まで来ると隊士は土方を残し来た道を戻って行った。


「チッ…なんで俺がわざわざこんな所まで来なきゃなんねぇんだよ、たくっ…」


舌打ちの後、面倒だと息を吐き土方は扉へと近づいた。


ノックをして暫くすると、その扉は静かに開いた。


「……なんの用だ」


開かれた扉の先に異三郎の姿を見るなり、土方は迷惑そうな顔を隠す事なく聞く。


「わざわざお越し頂き申し訳ありませんでした。どうぞ、お入り下さい」


体を引かせ、土方が進めるだけのスペースを空けると 異三郎は入室を促す。


「本当にすみませんね。
実は、恋人が出来た事が嬉しくて、それをメル友である貴方にどうしても知らせたくて…、ついメールしてしまいました」


「…………………は?」


まさか本気でそんな事の為に呼び出したのか?と、信じられないものでも見る様な顔つきで土方は異三郎を見た。


「友達が少ないもので、貴方ぐらいしかメールを送る相手が思い浮かばなかったんですよ」


すると、異三郎は悪びれもせず言った。


「なに考えてんだテメェ…」


ふざけてんのか。
そう続けようとした時だった。


「っ……」


何も無い真っ白な部屋に一つだけ存在するベッド。そこに横たわる人物が視界に入り込み、土方は目を見開き息をのんだ。


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