スラムダンク
□報われない恋を哀れんで
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お前は、知ってるか?俺が今、どんな気持ちでバスケ部に居るのかを…。
どんな気持ちで、付き合ってるお前と三井先輩を見てるのかを…。
いや、知ってる訳がねぇよな。
だって…、お前は俺の事なんて、これっぽっちも見ちゃいねぇもんな…。
俺の気持ちになんて、これっぽっちも気づいてねぇんだもんな…、どあほう。
─────…
────…
夕方、学校を出て暫く自転車を走らせた時、部室に忘れ物をした事に気づいた。
『……チッ』
面倒くさいと思いながらも、舌打ちをして、俺は戻る事にした。
すぐに、戻らなければよかったと、後悔するとも知らずに…。
『………?』
部室のドアノブに手を伸ばし、触れる直前、その部屋の中から人の気配を感じ…、
「………ちょ…っ…と」
小さな声が聞こえた。
「………ダメだって…ミッチー…」
『っ…!』
聞き間違える訳も無く、その声は…、桜木 花道のもの。
「大丈夫だって。もぅみんな帰っちまってるんだから」
…と、三井先輩のもの。
『……』
途端に ドクドクと、心臓が嫌な音を立てて高鳴る。
「…ン…ちょっ……どこ触って…。やめっ…脱がすなっ、せっかく着替えたのにっ…ぁあっ」
「おっ相変わらず敏感だな」
『っ…』
なにを…してんだよ?
「…ふっ………ぅうっ…。やだって…ば、汗かいた後だし。くせぇからっ」
「平気だって。俺、桜木の匂い好きだし」
ダメだ。
これ以上…ここに居ちゃいけない。
「わっ///な、舐めるなよっ」
中の様子を…、
「んっ、桜木の味だ」
この先を、知りたくない。
「…///どんな味だ。ばか」
頭では分かってるのに、
「うめぇって事だよ。あぁ、ダメだ。家まで我慢できねぇ」
脳内には、今すぐここから立ち去れと警告音が鳴り響いているのに…、
カラダが、足が震えて動かない。
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