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□ずるい
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第2話
ある日突然、
弟に好きだと告げられた。
それは、父が養子にした事で俺と兄弟になった、血の繋がらない弟からの告白。
驚いたけれど、嬉しかった。
そんなの当たり前だ。惚れている子からの告白なんだから。
そう…、俺だって、銀時の事が好きだ。
はじめは、天涯孤独という彼の身の上に、同情しているんじゃないかと思いもした。
長男としての使命感、とでも言うのだろうか。銀時に寂しい思いをさせないように、家族として愛情を彼に注いでいるのだ、と。
でも、違う。家族愛?
そんなものなんかじゃない。
俺は、銀時が可愛くて仕方ないんだ。実の弟である晋助にですらこんな風に思った事はない。
毎日、家でも学校でも銀時と過ごすうちに、イヤでも あっという間に気づかされた。
俺は、銀時の事を、恋愛対象で見ている。意識している。愛している、と。
───両想い
その事実が堪らなく嬉しかった。
「俺、あの…トシ兄ちゃんの事が…好きなんだ。だから…付き合って下さい。お願いします」
「銀時…」
だが…、彼の想いを受け入れる事など、俺には出来なかった。
俺たちは、兄弟だ。教師と生徒で、そして、男同士なんだ。
そんな事、許される訳がない。
そんな人の道に背く事、銀時にさせられる訳がない。
「…何を、言ってんだよ?俺たちは…兄弟じゃねぇか」
「…血は、繋がってないもん」
「……だが…兄弟だ。だいち、俺たちは男同士だろ?」
「トシ兄ちゃん…」
「お前は…俺の…大切な‘弟’だ…。それ以上の感情は…俺には、いっさい ない」
「………わかり、ました」
「っ…」
涙をポロリと流した銀時の姿に、胸が締め付けられた。
俺の選択は…、
間違って、いないよな?
そう、何度も自分に言い聞かせた。
──そして
その出来事から俺は、銀時とろくに目も合わせなく…、話も、しなくなった。
そんな日々が3ヶ月、続いた。
この3ヶ月の間に、何が起こっているのかも知らないで…。
───そして
・・・
その時はやって来た。
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