□ある恋人達の終焉
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別に、驚きはしなかった。
あぁ…、ついに目の当たりにする時が来たのだな、と、ぼんやり思う程度だった。


だって、知ってたもん俺。
お前が俺に内緒のつもりで、ずっと、何度も浮気を繰り返してた事なんて。


言っとくけどさぁ、土方くん。
隠してたつもりかも知んないけど、銀さんにはバレバレだったからね、うん。


「っ……ぎ、銀時…」


──週末深夜。
厭らしく光るピカピカネオンのラブホテルから、一組の男女が出て来た所に、たまたま通りかかった俺は、鉢合わせになった。


女の方は、二十代前半って感じのまぁまぁ綺麗な子で、男にベッタリ引っ付き、一方的に腕に絡み付いている。


男の方は‘恋人’である俺に浮気現場と言うか、浮気直後現場を目撃され、目を見開いて固まっていた。


そりゃあ今までバレて無いと思ってた浮気がついにバレちゃった訳だからね。
うん、そりゃビックリだよな。


あ、土方くんの首筋にキスマーク発見。


この女に付けられたのかな?だって俺あんな所に付けてねぇもんな。ってか…、
この女と本当にヤッたんだ?


…………なんだろ。もう嫉妬する気にもならねぇよ。


「ぁ…や、ち、違うんだ銀時…」


違うって何が?
こんな状況で何をどう言い訳するってんだ?コイツは。


俺を見るなり、顔を青ざめた土方くんに、何か全てがどうでもよくなった。


「よぉ、土方くんじゃん。こんな所で会うなんて奇遇だな」


口角を上げ、ニコリと微笑んでみせると土方くんは更に目を見開いて俺を見た。


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