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□彼はアイドル
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第2話





な、なんだコレ。
何だ?この生き物。


─────て、天使?




















高校時代の後輩、入社してからは部下である沖田 総悟という男に、俺はある日出社するといきなり透明なパッケージに入ったDVDを渡された。


「なんだこれ?」


「DVDでさァ」


「んなもん見れば分かんだよ。何のDVDだって聞いてんだ」


聞けば総悟はニヤニヤと憎たらしい笑みを俺に見せる。


「見てのお楽しみでさぁ。
ネットで物色してたら たまたま見つけましてねィ?
ぜひ土方さんに、と思いやして。差し上げまさァ」


「………?」


この総悟(おとこ)はハッキリ言って俺の事がキライで、何かと嫌がらせを仕掛けてくる。


学生時代も社会人になってもそれは変わらねぇ。先輩であるとか、上司であるとか言う概念はコイツには皆無だ。


だから絶対に、100%このDVDは俺への嫌がらせに決まってる。


いつもの俺ならデッキにすら入れなかっただろう。


だがこの日、家に帰り風呂を済ませ、ビール片手に晩御飯を食べながらテレビでも見ようと思っていたのだが、改変時期だからか特番ばかりでハッキリ言ってどの番組もつまらなかった。


と、そこで目に止まったのが総悟から押し付けられたDVDだ。


まぁ…、嫌がらせっつったって、所詮DVDだしな。大した事ぁねぇか。暇潰しにはなんだろ。


と、DVDをデッキへ入れた。


再生し、テレビに映し出された映像に俺は目を見開き固まった。


最初はDVD(これ)が‘何か’なんて全く分からなかった。だが、いきなり現れた男の姿に俺は目を奪われた。


いや、心も。


え、なにコレ。
まるで一目惚れだ。


んなもん、今までそう言って何度か告られた事もあったが、一度だって‘一目惚れ’を信じた事はなかった。


だが、実際に自分がしてしまえば信じざるを得ない。


な、なんだコレ。
何だ?この生き物。


─────て、天使?


白くってフワフワで、めちゃくちゃ可愛い。


「銀っていいまぁす」


───銀。
ドキドキドキ。


‘なんで銀はAV男優なんて道に進んだの?’


…………え?


‘なんで、ノーマルな男×女のAVじゃなく男×男のゲイ物の(しかも受けの)男優に?’


え、えっ!?
って言うか…、あ、あれ?
こ、こここ…コレって!?


え、ええええ…AVなの!?
しかもっ、ゲイものの!!?


じゃあ何だ?今から、アンナ事やコンナ事、ソンナ事までしちゃったりするの!?この子。


お、おおおっ男とっ!?


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