11/04の日記
12:40
11月3日は文化の日。いえ、違います!いや…違わないけど…。
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土方 十四郎、彼の仕事は忙しい。
土日だ祝日だ、連休だと言う世間とは違い、土日も祝日も関係なく働いている。
しかし、今年の11月3日、文化の日である祝日は珍しく休みになった。
朝起きて歯を磨いている時、上司である近藤に有給が貯まっているから休みを取れ、と半ば強引に休まされたのである。
休みといっても、特にやる事なんて…と考えた時、土方の頭に浮かんだのは最近なかなか会えていなかった銀色の恋人であった。
そこで電話をしてみた。
「もっしも〜し。万事屋銀ちゃんで〜す」
なんとも気の抜けた声に、しかしアイツらしいと土方の頬は緩みそうになる。
「俺だ」
「…俺だ、さんっすか?」
「んな訳ねぇだろ!俺だ俺!」
「今どきオレオレ詐欺?ぅわ、まだやってる奴いたんだ?」
「アホか!?なんでそうなる!声で分かんねぇのか!!?」
「土方くんでしょ?
なにムキになってんの?」
「…」
何だよ気づいてたのかよ、と土方はこんな細やかなやり取りにも幸せを感じる。
「なに?どうしたの?」
銀時の声に、土方は何の為に電話をしたのか思い出し口を開いた。
「あぁ。アレだ。今日、休みになった」
「……ふ〜ん」
銀時の素っ気ない返事に、土方は若干 面白くないが言葉を続ける。
「会えるだろ?俺がそっち行くか、それともどっか出かけるか?」
もう決定している様な口振りの土方に、銀時はその期待を裏切る様にサラッと返す。
「あ〜…今日は無理」
「…」
タバコをくわえ、火をつけようとしていた土方は受話器越しの銀時の声にそのタバコをポロッと落としてしまった。
「な、なんでだ!?」
普段、自分の仕事が忙しく、ゆっくりと恋人の時間と言うものを持てていなく、いつも銀時には寂しい思いをさせてしまっていて申し訳ないと思っていた所で、せっかく丸まる1日休みになったというのに、断られてしまって土方はショックを受ける。
「なんでも。
せっかくだけど、今日は無理」
だからなぜだ!?
…銀時は、自分とは会いたいと、それほど思ってる訳ではないと言うのか?
と、土方は胸がチリチリ痛む。
ま、まさか…、俺への気持ちが薄れてんのか!?
心変わり!?も、もしかして…万が一にも…俺の事を、嫌いになったとか!?それとも他に気のある奴でも出来たとか!?
ゆっ、ゆるさん!
そんな事、俺は絶対に許さんぞ!!
…土方の不の妄想は広がっていく。
無言が続き、なにやら考え事でもしている雰囲気の土方に気づいた銀時は、そこで声をかけた。
「何か勘違いしてない?」
「え、……勘違い?」
「別に、土方くんの事嫌いになった訳じゃないよ?」
「…」
…今の沈黙で俺が考えてる事、よく予想できたな?な、なんだよ…銀時の奴、俺の事よく分かってんじゃねぇか。
と、土方は少し前までは暗かったというのに銀時の一言で今は一気に照れて嬉しそうにした。
が、会えない事に変わりはないので…、
「じゃあ何で会えねぇんだよ?」
土方は拗ねる。
そんな土方に、銀時は ため息混じりに返す。
「普通、会えないっつったら仕事だと思わない?俺だって立派な社会人な訳だし」
立派なって…いっつも仕事がねぇってグチグチ言ってるくせして…。
と、思いながらもタイミングが悪ぃと土方は心の中でチッと舌打ちをする。
「そうか。今日、仕事なのか」
「いや、依頼なんてねぇよ」
「…」
土方はピクリと眉を寄せ、
「仕事じゃねぇのかよ!?じゃあ何で会えねぇんだ!」
ついにイライラしはじめた。
「今日は家族サービスデーなの」
「…はぁ?」
「神楽にせっつかれてんだよ。今日はずっと一緒に遊べって」
何だそんな事か…と、土方は安堵のため息をついた。
「そっちは別に明日でもいいだろ?」
「ダメ」
頑なな銀時に、土方は神楽にも焼きもちを妬きはじめる。
「何でだよ…」
アイツらと俺と、どっちが大切なんだ?
………と聞くのは何か違う気がして、その言葉は飲み込む。
銀時にとって新八や神楽は大事な大事な家族の様な存在で、比べる様なものでは無い事ぐらい分かっている。
「今日だから意味があんの!
今日、神楽の誕生日だからぁ!」
「…は?」
土方がそんな声を出していると、受話器から何やらガサゴソと音がし、次の瞬間には今までのものより高い声がした。
「もしもしマヨラーアルか?」
どうやら銀時から受話器を奪い、神楽が電話を変わった様だ。
「な、なんだ?」
とりあえず返事をすると、
「と言う訳アル。銀ちゃんは今日ずぅ〜っと私と一緒にいてくれるって約束したネ」
どこか得意気な神楽の声。
「…」
土方とて そこは大人である。確かに気に入らないが、誕生日と言う事ならば仕方ない。今日ぐらいは銀時を小娘に譲ってやる…と、渋々覚悟を決めたのである。
「あぁ…分かった。そう言う事なら、今日は俺が手を引く」
「………ま、ど〜〜〜しても銀ちゃんに会いたいってんなら、うちに来る事ゆるしてやってもいいアルよ?」
「え…」
神楽の一言に土方はパチクリと瞬きをした。
「大勢で過ごした方が楽しい事もあるアルし、銀ちゃんとマヨラーの仲を邪魔する程私は別に子供じゃないヨ。」
「チャイナ…」
「ただし!あくまでも主役は私だという事を忘れんなヨ!?ケーキ代に食事代、プレゼントのすこんぶ一年分プラス定春の餌一年分でバースデーパーティーに参加する事をゆるしてやるアル」
「チャイナ…お前…」
パーティーを開く為の費用を全て土方に払わそうとしている神楽の企みに気づかず、(なぜ気づかない!?)銀時に会える!という所だけを頭に入れた土方は、神楽の事を何ていい奴!と思ってしまったのだった。
「分かった。今からそっち行くから。銀時にも伝えといてくれ」
「分かったアル」
そう言葉を交わして2人は電話を切る。
「…神楽、お前」
神楽の言葉を隣で聞いていた銀時は、電話を切った神楽にポツリと話しかける。
「パーティー開く様な金なんてねぇから、その代わりに今日は俺がずっと一緒に居るって事で納得してたんじゃなかったっけ?」
「銀ちゃんと一緒にいられるだけで私は確かに満足ヨ。でも、どうせならパーティーやりたいね!財布が出すって言ったんだからちょうど良いネ!」
…土方、財布扱いか。
と、神楽に良いように転がされた土方に少しだけ同情しながらも…、
やっぱり土方に会えるのは嬉しいので、神楽に感謝する銀時なのでありました。
そして この日、神楽のバースデーパーティーは余裕ある資金のお陰で大勢でわいわいと楽しく開催されたのであった。
──────…
─────…
(あとがき)
はいっ!1日遅れてしまいましたが(汗)
(o^冖^o)神楽ちゃんHappy Birthday♪
神楽のハピバ記念小説なのに出番が少なく、しかもほとんど土銀話ってね(^_^;)
でも、この話の中で良い感じに土方さんを利用した神楽が好きです←自画自賛(笑)
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